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ベルリンでスリに遭って旅行が中止!?私の残念すぎる体験談の全貌とそこから学んだこと
新卒でフリーランスとなりベルリンに移住したブロガー・翻訳家のwasabiさん。旅行に行こうとしたらスリに遭ってしまったそうです。彼女は自身のブログ「WSBI」に事の顛末とスリ対策がまとめられていたので、転載してご紹介します。
どうも、wasabi(@wasabi_nomadik)です。
shit happened!今日は友だちに会いにワイマールへ行く予定だったのに、なんと途中で財布とiPhoneをスリに盗られてしまって断念、、、今はもう心が落ち着いたけどさっきまで発狂。 せっかく友だちがいろいろ準備してくれてたのに残念すぎる〜。スリさん、言えば金はあげたよ。
— wasabi (@wasabi_nomadik) 2016年4月9日
そう、なんと先日人生初のスリに遭ってしまいました。
しかも、ただのスリ被害じゃありません。
普段の何もない時に起きたならまだしも、今回は旅行に行くバスへ乗るまさに30分前に起きてしまったんです!
たとえるなら、長いこと彼氏と関係を育み、計画してきた結婚式当日に「彼氏は役者で全部ドッキリでした〜!w」と言われるくらいの衝撃です。
本気で「えっ...!?」って感じですよ(笑)。
というわけで今回は私が遭遇した不運すぎる体験談の全貌とそこから学んだこと、後日談などを紹介します!
今日は水曜日、ちょっとお疲れという方もいるかもしれませんね。でも、「これよりはマシかも...」と思って、週末まで乗り切ってもらえたら光栄です(笑)。
ジェットコースターのような浮き沈みの激しい1日の始まり
事件が起きたのは午前9時頃。
ベルリンの地下鉄Kaiserdamm駅の地上へ繋がるエスカレータ上。
私はその日ワイマールに住んでいる友だちを訪ねに9:30発のバスに乗るはずでした。
この旅行予定が決まったときからずっと、フェイスブックで友だちと楽しく旅行の計画を立ててきていました。
友人「どんなことしたい? パーティー系? リラックス系? それとも観光系?」
私「う〜んそうだな〜お任せしたいけどぉ〜ディープな場所が見たい!」
友人「部屋からはこんな夜景が見れるよ〜(写真)」
私「わぁ〜〜すごい〜〜>o<♪」
思えば、この旅行のプランを立てているときが今回の旅でMAX楽しい時間だったことを私はまだ知らない。
バス停のある駅に着いたのは9:00ちょうど。
ジャストタイミングで駅について、ガッツポーズ。
あとはエスカレータで地上に出てバス停まで3分歩くだけでした。
そのエスカレータで地上に降り立った瞬間、ぽろっと私のかばんの中からイヤホンとメモ帳が落ちたんです。
「なんか落ちた?」と思ったら後ろにいた男の人が「これ落ちましたよ?」ってそれらを拾ってくれました。
そこで初めて自分のかばんのチャックが開いていることを知ったときには、すでに遅かった。
カバンからはiPhoneと財布だけがバッチリ抜き取られていました。
気をつけているだけじゃ足りない
この時私は相当ぼーっとしてたのではないか? と思うかもしれませんが、逆です。
身近な知り合いにもスリ被害や置き引きに遭った人を何人も知っているし、自分自身も以前スリ未遂に遭遇したことがあったのでいつもスリにはかなり気を配っているのです。
実は今ベルリンではスリの被害が増えていて、アメリカの外交安全機関OSACによればベルリン2015年四半期のスリ案件は2014年に比べて24%増加したのだとか。
こういう事実や自分の経験もあって、少しでもカバンに接触を感じるだけで顔を確認したり、電車の中ではiPhoneや財布を見せないようにしたりと普段から意識していたにもかかわらず、今回は私も気がつかなかったどころか、比較的私の近くにいたはずの男性やエスカレータにいたほかの人も気がつかなかったほど巧妙に素早く持って行かれてしまったのでした。
これを防ぐにはどうすればいいのか、疑問に思いますよね。
よく、「スリに遭わないための対策」というコラムやブログの記事で紹介されている「スリ対策」ってたまに大げさでは? って思うものがあると思うんです。
たとえばホルスターをジャケットの下に着用するとか。
チェーン付きの財布を持つのは、治安の悪いエリアも含めたいろいろな場所を巡る世界一周旅行者の間では鉄板。
でも、海外に住んでいて普段の生活でここまでやるのは...って誰もが思うはず。
でも、もし"本気で絶対スリに遭いたくない"ならここまでしないとダメだと実感しました。
もしくは、ここまでしたくないのならば「スリに遭っても諦められる準備」をしておくことが意外と現実的な「スリ対策」なのかもしれないと思っています。
たとえば、現金を別の財布に分散して持ち歩いたり、財布が盗られても被害が少ないようにカード類は入れないなどです。
また、友だちから聞いた話で「そもそも財布は盗まれるものだから財布を持たない」という手もあるようです。
たしかに私の友人でも札束をクリップや輪ゴムで止めて持ち歩いている人がいます。(それはただ単に財布を買うのが面倒だかららしいが...)
でもこういうクリップなら普通に粋でかっこいい!海外流にお金の持ち方を変えるべきかもしれません。
犯人へのあたたかいメッセージ
ベルリンでは、スリに遭った被害者は被害を届け出ることが求められています。
これはおそらくベルリンに限らずどこの都市・国でも同じことですが、盗られた状況によっては一番最初に警察に行かないほうが良いこともあります。
それはなぜか。
スリに遭ってしまって、犯人の顔も分からない、そもそも犯人がその場にもういなくなっている場合、警察に報告したところで事件解決になる望みは薄いからです。
それよりもまず、財布にクレジットカードが入っていたり、盗まれたスマホに個人情報が入っている場合はネットの繋がる環境を探して徹底的にそれらを停止することが先決です。
私もまずはWi-Fiの使えるカフェを探し、Skypeのクレジットを使って日本のカード会社に国際電話をかけてカードを停止しました。
それからSNS、メール、銀行口座などの重要なアカウントはすべてネットからログアウト。
ほかの端末からのアクセスに再度パスワードを要求するように設定するなどしてネット上の被害も最小限に押さえました。
iPhoneの場合、もし「iPhoneを探す」という機能をONにしておけばiCloudにログインして追跡することも可能です。
私はこの機能をONにしていたはずですが、端末がオフラインになっていて確認できませんでした。
そういうときは、「iPhoneの消去」を選択して遠隔で端末を初期化してしまうのが一番安全でしょう。
しかも消去するときにこれ、メッセージが残せるんですよ。
私は犯人に向けて、「iPhoneを盗んでくれてありがとう。返さなくて良いよ、SIMフリーじゃなくてごめんね。頑張ってね。」という大変丁寧なメッセージを残しました。
それらがすべて一段落したところで、ようやく警察へ行き事情を説明。最後に自分の事件番号の書かれたプロトコルをもらって、終了です。
天国と地獄が両方存在するかのような体験。ベルリナーの優しさを実感することに
財布とiPhoneを盗まれた私は当然のことながら途方に暮れていました。
朝早起きして電車に乗り、50分くらいかけてようやくやっとバス停に付き、あと30分でバスに乗るというまさにその時にすべてを失ったのです。
わかりますか、この感情。しかも旅行前ですよ!? そのとき私はとりあえず友人に電話し、(私は携帯をもう1つ持っているのです)事情を説明。
バスを逃してしまうことと、所持金もないので旅行は行けなくなってしまったことを伝えました。友だちもポカーンです。もはや突然のことすぎて笑ってましたw
そんな感じで道路で立ち尽くしつつ、Wi-Fiのあるカフェを探さないと〜...とパソコンで検索し始めるといろんな人が「何かあったの?」「何を探しているの?」と声をかけてきたんです。
事情を説明すると、「すぐに警察行ったほうがいい! そこをまっすぐ行けばあるから!」とか「カフェはこの道の先よ!」とおじさんからおばさん、若いお姉さんまでいろんな人が助けてくれました。
カフェのネットも、事情を話したら無料で使わせてくれました。
「ベルリンって、マジでなんなんだろ...(涙)」というのがこのときの素直な感想です。
人の財産をかっさらっていく最低な奴もいる一方で、こんなに優しい人もたくさんいる...。
本当にこの場所はカオスで、このカオスがベルリンらしさでもあるのかなって。
そのときはそんな感傷にひたれるほど余裕はなかったけれど(笑)。
このアクシデントで学んだ「つながりの大切さ」
家に帰ってこのことをSNSで報告すると、ツイッターでも心配の声やあたたかい声をかけてくださる方がいました。本当にありがたいです。
自身のフェイスブックでも「お茶しに行こう!」って言ってくれたり、「何か困っていることはない?」と友人たちが声をかけてくれて本当に救われました。
このアクシデントを通じて、自分はいざという緊急時にも頼れる真の人間関係をベルリンで築けていることを再認識できたのです。
正直、これだけでも私がベルリンに来た意味があったと思えました。なぜなら私は今までそうした深い人間関係を築けない人間だと思っていたからです。
そもそも今までのすべてを投げ打つ覚悟をもってベルリンに来た私は、いつも常に1人で戦っている気分でした。
そんな自分が、ほかの人にここまで心配してもらえるようになったなんて...この事件がなければきちんと分からなかったかもしれない。
心配した友人がその日「気晴らしにご飯行こう!」と言ってご飯をおごってくれたり、こんな素敵なベジタリアンな差し入れを持って来てくれたり...(涙)。
「私、友だちがいるんだ」
それはある意味当たり前で、でも1番難しくて1番素敵なこと。こんなことさえ私はちゃんと気がついていなかった。
そんなことを思いながら友だちとスリの悪口を思いっきりネタにして盛り上がっていると、旅行に行けなかった悔しさや財産を盗られた未練はだんだんと和らいでいきました。
その日の夜も結局寝るまで、ドイツだけでなくほかの国に住んでいる友だちにまで心配のメッセージをもらったり、そのまま久しぶりの会話に華を咲かせていたらコックリと眠りについていました。
スリに遭ったときの一番の解決法?
それは、「頼れる友だちを持つこと」なのかもしれない。
ちょっとくさいかしら?でも、これ割と真理ですよ。
BY 経験者
旅行直前にスリに遭って旅行が中止!?私の残念すぎる体験談の全貌とそこから学んだこと | WSBI
(wasabi)
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