いま中国では、いたるところで、給料の未払いや劣悪な労働環境に抗議する労働者のデモやストライキが頻発している。中国政府の公式統計では昨年の1月から9月までの9か月間で1万1000件以上。香港に本拠を置く、中国の労働運動の調査機関「中国労工通信(CLB)」の調査では、昨年12月1日から春節(旧正月=日本の元旦に当たる)の2月8日までの2か月間で1050件も発生している。
「中国は社会主義国で、本来は労働者が主役の国だったはずだ。その労働者が虐げられ、彼らの怒りが爆発している。今後、手が付けられないほどの大きな労働争議が起き、暴動に発展する可能性がある」とCLBの韓東方代表は不気味な予測を口にする。ジャーナリストの相馬勝氏がリポートする。
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韓代表によると、最近の最も大きな労働争議は黒竜江省双鴨山市に本社を置く国有炭鉱「双鴨山砿業集団」の炭鉱労働者とその家族ら数万人による「給料未払いデモ」だ。
同社は2014年から給料の未払いが続いており、社員は生活費として毎月800元(約1万4000円)ほどしか払ってもらえず、それも昨年9月から半年間はその生活費も支給されていないという。このため、労働者側は政府部門に訴えるなど、同社が給料の支払いに応じるよう求めていた。同市では連日、給料支払いを求める労働者らのデモや集会が行われ、町は騒然とした空気に包まれていた。
そのような折も折、黒竜江省の陸昊省長が3月6日、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で、記者から双鴨山市での炭鉱労働者デモについて質問されると、「給料の未払いなど一銭もない」と言い放ったのだ。