状況変わらず20年…国と県、見えぬ着地点
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)は全面返還の日米合意から12日で20年たったが、返還に向けた道筋は不透明なままだ。菅義偉官房長官は12日の記者会見で「日米同盟の抑止力維持と普天間飛行場の危険性除去を合わせた時、辺野古移設が唯一の解決策だ」と述べ、名護市辺野古への移設方針を堅持する姿勢を強調した。
菅氏は、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍事力増強を念頭に「我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している」とも指摘し、計画に理解を求めた。
また、沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が、20年間返還が実現しなかったことを「県内移設ありきで物事を解決しようとする政府の姿勢」が原因だと主張したことに対し、「翁長知事も県議当時、県内移設を叫んでいた」と反論。政府と県との溝の深さもみせた。
政府の強気の背景には、最終的には県との訴訟で勝訴できるとの自信がある。菅氏は、2013年12月に、当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が行った辺野古沿岸部の埋め立て承認について「なんら瑕疵(かし)がなく行政判断は示されている」と述べ、正当性を訴えた。
だが、県側は最終的な司法判断後も移設阻止の手段を行使する可能性を示唆しており、着地点は見えていない。【高本耕太】