今日は頑張らないと・・・ そんなときに、「エナジードリンクは飲みたいが、肥満にならないよう “シュガーフリー” のものを」と、コンビニで選んで買っている読者がいるかもしれない。
結論から言おう。シュガーフリーのエナジードリンクに、エナジー効果はない。そして、「味を楽しむ」ことの他に購入するメリットは見当たらない。その理由を、実証実験の結果と分析をまじえて説明する。
エナジー効果のものさし、血糖値に変化なし
実証実験は、デジタルヘルスケアサービスを提供する「ライフロボ株式会社」の協力を得て行った。実験の内容は、シュガーフリーのエナジードリンクの摂取した後の「血糖値」の変化を測定するというものである。
血糖値は、エナジー効果を測るものさしだ。裏返せば、私たちのパフォーマンスの状態を表している。血糖値が高まっているとき、脳にはエネルギー源であるブドウ糖が行きわたっており、脳は活性化している。
人間は、脳のエネルギー源であるブドウ糖を、主に糖質をふくむ食事で摂り入れる。しかし、シュガーフリーのエナジードリンクは、その名の通り糖質が含まれていないため、ブドウ糖を摂取することはできず、血糖値は上がらないはずだ。
そうした仮説を持った上で、実際にシュガーフリーのエナジードリンクの代表格である2つの商品をピックアップし実証実験を行った。その結果が、こちらだ。
*ドリンクA(250ml / 糖質0g)、ドリンクB(355ml / 糖質0g)で検証(結果には個人差があります)
血糖値を表す線グラフは横ばい。飲んだ直後もほぼ変わらなかった。糖質ゼロというのは本当のようだが、血糖値を見るかぎりはパフォーマンスを上げてくれるとは言い難い。「エナジードリンク」と名前が付いていることに、どうしても違和感を覚えてしまう。
メーカーの宣伝文句ではどう謳われている?
では、シュガーフリーのエナジードリンクは何のためにあるのだろうか。先ほどのグラフを見て、「血糖値はたしかに上がっていない。しかし、横ばいに保ってはくれている」と思った方がいるかもしれない。
血糖値が一定に保たれるのは、パフォーマンスを発揮する上で大切である。急な上昇はその後の急低下を招き、すると人は眠気を感じたり、集中力が落ちたり、ときにはイライラしやすくなるなどの症状が出てしまうからだ。食事をし、ゆるやかに血糖値を上げることにより、パフォーマンスも上がる。
だが、横ばいに保たれているのはエナジードリンクのおかげでは言い切れない。なぜなら、人のからだには血糖値を保つためにさまざまなホルモンが備わっており、数時間食事をしなかったとしても血糖値が下がり続けることはないからだ。
シュガーフリーのエナジードリンクを飲んだ被験者にも、飲んだ後の実感を聞いた。
「シュガーフリーでも飲んだ後、腹痛や気分の悪さがある(29歳・男性)」
「一日に何本も飲んで良いというものではないと思う(24歳・女性)」
脳の活性化やパフォーマンスの向上はあまり感じられなかったようだ。
某商品のウェブサイトでは、「必要なとき、いつでも」と、飲むシーンを勧めている。はたしてそうだろうか? 気になる読者は、飲む前と飲んだ後の自分の体調を照らし合わせてみるといいかもしれない。
糖質 “あり” のエナジードリンクは?
『Catalyst』では前回、通常のエナジードリンクについても実証実験を行った。飲んだ後の血糖値はどのように変化したのか?気になる方は、ぜひそちらの記事もチェックしてほしい。
エナジードリンクの「持続効果」は何分間? 検証の結果は・・・