舛添都政は、おときた氏の指摘より客観的査定が必要

2016年04月13日 06:30

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舛添都知事が批判にさらされています。「韓国人学校」「海外出張費」の対応について都庁には抗議が寄せられており、その多くが批判ともいわれています。アゴラのメンバーである、おときた駿都議も都政の方向性に疑問を呈しています。

●ケリー国務長官との比較

昨日の、G7外相会合では各国の外相が揃って平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花をしています。米国のケリー国務長官もアメリカの現職閣僚としてはじめて被爆地で追悼をおこないました。

その後、ケリー長官の提案で原爆ドームと資料館を見学していますが、メディアはシャットアウトされました。原爆ドームや資料館において、ケリー長官が前かがみの姿勢を撮られたら謝罪をしているように見えかねません。これは、アメリカ世論を踏まえたうえでの配慮と考えることができます。

G7外相会合は、核のない世界の実現に向けた「広島宣言」を取りまとめて閉幕しました。共同声明では、中国を念頭に「東シナ海・南シナ海」への海洋進出に対して懸念を示したうえで、北朝鮮による核実験や弾道ミサイルについても非難しています。

その後、岸田外相が「核兵器のない世界に向けた国際的機運を再び盛り上げる、歴史的一歩となった」として「広島宣言」を取りまとめました。CTBTを批准するよう無条件で求めた宣言は素晴らしい成果であると評価することができます。

これに対して、舛添知事の訪韓を比較してみましょう。朴大統領は背筋をピンと伸ばしたまま右手を出し、舛添知事は背中を丸めて握手したため少々へりくだった印象をメディアに与えました。会談においても朴大統領の歴史認識に対して、舛添知事は終始うなずいた姿勢をみせていました。

対メディア戦略を鑑みれば好ましくないとの意見があります。東京は世界都市ランキング「経済部門(GDP、1人当たりGDP、GDP成長率)」で1位の国際都市です。主要国のGDPにも匹敵する都市の知事であるならもっと堂々と振舞えばよかったとの声もあります。

●韓国人学校建設や海外出張費について

都有地の「保育園建設」を無視して「韓国人学校」を建設することに対する批判もあります。舛添知事は「いろんな声があるのは当たり前。反対意見が多数来たとしてもやる」と強い意欲をしめしています。

なお、舛添知事は「国有地活用で待機児童問題を解消」することを公約にいれています。東京都は全国においても待機児童数の割合が多く、その待機児童ゼロという公約を果たすためには保育所を増やす必要性があります。待機児童問題は喫緊の課題であり早期に解決すべき事案と考えられるからです。

都内の保育施設は足りないので跡地に保育所を建設することは当然であり東京都が率先して取り組むべきとの意見もあります。また、既に都内の韓国人学校は定員割れのところが少なくなく、新たに学校を新設しても得策ではないともいわれています。

東京都は、舛添知事が昨年10~11月にロンドンやパリを訪れた際にかかった海外出張費が総額5024万円に及んだことを都議会の予算特別委員会で公表しました。直前の韓国出張でも645万円が掛かったことが明らかになっています。舛添知事の海外出張をめぐっては当初より、「出張費が高すぎる」との声があります。

●客観的に検証し査定すべきでは

本来、メディアは中立で客観性が求められますが歪んだ報道が増えているように思います。よって各メディアの報道には偏向報道があることを踏まえなければいけません。特に、政治の報道は表面的なことに終始し内実に迫っているとはいえません。

まずは批判の前に検証が必要では思います。朴大統領の会談においても合意事項の履行が「待機児童解消」よりもメリットが高ければ都民の生活に好影響が期待できますから、双方を比較検討したうえで検証する作業が必要です。

海外出張費についても高額であることは間違いありませんが、エコノミーを利用して宿泊費も安ければよいというものでもないでしょう。結果的に都民の生活にどのようなメリットをもたらすかが重要なポイントになるはずです。そのためには、単なる批判ではなく客観的視点による検証を踏まえたうえでの「査定」が必要になると考えられます。

追伸

おときた駿都議は、素晴らしい政治家です。障害者支援に対する取組みや数々の視察の報告には敬意を表したいと思います。今回の舛添知事の海外出張費の追求も一定の理解はできます。私はあえて都民の立場として意見を申し上げます。

海外出張費はあくまでも表面上の問題に過ぎません。黒塗りの資料を追求したところで、それ以上の情報が出てくる可能性は低いでしょう。またムダ使いであるかどうかは大局的に考えればさほど大きな問題ではありません。

海外出張費ではなく、これまでの施策に対して客観的な視点による査定を期待したいと思います。メディアの偏向報道があるなかでの客観的査定は大きな意味を持つと考えています。おときた駿都議の益々のご活躍を祈念申し上げます。

尾藤克之
コラムニスト/経営コンサルタント。議員秘書、コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ)『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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