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 教科書会社が検定中の教科書を教員らに見せて謝礼を渡していた問題で、公正取引委員会は12日、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで教科書会社の調査を始めた。馳浩文部科学相は、公取委の処分内容によっては教科書発行の指定取り消しも検討する姿勢を示した。

 小中学校の教科書を発行する22社の担当者が12日、公取委に集められた。参加者によると、教員らへの謝礼の有無について、各社の調査データの提出を求められた。今後、聞き取り調査も行われるという。

 独占禁止法は、顧客に現金などの利益を提供して、自分と取引するよう誘う行為を「不当な顧客誘引」として禁止している。違反が認められれば、公取委は排除措置命令や警告を出す可能性がある。

 馳文科相は12日の記者会見で、公取委が教科書会社に排除措置命令を出す事態になった場合、「教科書発行の指定取り消しも含めて当然検討する」と述べた。小中学校の教科書は、文科省の指定会社のみ発行が認められている。

 この問題では、教科書会社22社のうち10社が2009~14年度、検定中の教科書を教員らに見せ、約3500人に謝礼として現金など2千~5万円(相当)を渡していたことが判明。10社は文科省の調査に「教科書の内容について意見を聞いたことへの対価」と説明し、営業の意図はなかったとしているという。