車輪の間の幅を変えて新幹線と在来線の両方を走るフリーゲージトレイン(FGT)の開発が、壁にぶつかっている。完成予定が先延ばしされ、コストが膨らむばかり。本当に実現できるのか。
FGTの国内初導入は博多―長崎間に2022年度開業予定の九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)で計画されていた。博多―長崎間約143キロのうち、新鳥栖―武雄温泉(佐賀県武雄市)間の51キロは在来線を走り、開業当初から全面導入する前提だった。ところが国土交通省が昨年12月、車両の開発が大幅に遅れ、FGTによる長崎新幹線の22年度全面開業は困難という見通しを示した。
原因は、鉄道・運輸機構による耐久走行試験で発覚した車両の欠陥だ。車輪の動きを安定させるベアリング内で潤滑油の漏れを防ぐ部品が14カ所壊れ、車軸と軸受けに24カ所の摩耗痕が見つかった。
地元では開業の遅れへの懸念が広がり、与党は今年1月、急きょ検討委員会を設けた。長崎県の中村法道知事は2月、検討委の会合で「開業予定は守ってもらいたい」とクギを刺した。
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朝日新聞社会部
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