バドミントン男子の桃田賢斗選手(21)、田児賢一選手(26)らが闇カジノに出入りし、両選手には処分が下された。選手生命さえも奪いかねない厳しさだが、立ち直るきっかけを与えることも大切だ。
日本バドミントン協会が決定した処分は、男子シングルス世界ランク二位の桃田選手に日本代表の強化指定解除、無期限の競技会出場停止、二〇一二年ロンドン五輪代表の田児選手に無期限の登録抹消だった。
この問題の最大の焦点は、二人が出入りしていた違法カジノ店が反社会勢力と関係があり、その中で賭博に手を染めていたことだ。社会的責任を重く受け止め、しっかり償わなければならない。
しかし、二人が違法カジノの実態をどこまで把握していたのかという問題もある。田児選手は、所属していたNTT東日本の後輩である桃田選手をカジノに誘い、自身はプロ野球巨人の選手が野球賭博に関与していたことが発覚した昨年十月以降も同様の店に通い続けていた。
一方の桃田選手は、本人によれば店に計六回行ったが、昨年一月からはバドミントンに打ち込むためギャンブルからは手を引いた。その後、巨人選手が解雇された報道を見て、事の重大さに気付いたという。
二十一歳といえば立派な大人だという人はいるだろう。だが、子供の時からバドミントンだけに打ち込んできたことなどを考えれば、反社会勢力の影響が及ぶ店や場所などを選手にしっかり説明していなかった協会の責任も重い。それらを考慮すれば、桃田選手への処分内容が妥当なものかは意見が分かれるところだ。
協会によれば桃田選手への処分解除は、今後の本人の言動や社会貢献活動など更生プログラムを課す中で決めていくとし、明確ではない。協会の倫理委員会では再発防止策として、国費で活動する代表選手が茶髪や派手なアクセサリーをつけることを禁止するという、表現の自由に立ち入った筋違いの意見も出ているという。
大切なのは、過ちを犯した選手が真摯(しんし)に反省して立ち直ることに、協会が責任を持って取り組むことだろう。世間の風当たりを憂慮したあやふやなものではなく、一定期間のボランティア活動への従事など、選手にとって指針となる道をはっきりと定めていくべきだ。今のままでは再生のきっかけさえも見ることができない。
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