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外資系トップの思考力
【第3回】 2016年4月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
ISSコンサルティング監修

経営プロフェッショナルである外資系トップは
「数字」や「データ」から何を読み取っているのか

業績や販売状況など、経営とは切っても切り離せない「数字」について、経営のプロフェッショナルはどのように分析しているのでしょうか。外資系トップ10人がリーダーに求められる“思考力”について語った書籍『外資系トップの思考力』より、今回は数字やデータ分析のポイントについて一部をご紹介します(敬称略)。

 

業績や販売情報など経営に不可欠な数字。ここからトップは何を読み取るのか?

 データはたしかに重要です。データをもとにダメなものはダメ、という結果を突きつけられたときは、それをごまかしても仕方がない。ただし、数字は自分の都合のいいように積み上げられたり先送りしたりできます。だから、数字であっても人からもらった二次情報は楽観視せず、参考にしかしません。
(麻野信弘 ダイソン)

 

 ファイナンスの重要な役割のひとつは、分析です。たとえば予算達成に向け、部門によって、本当は一二〇できることを一〇〇しか言わなかったり、逆に一〇〇しかできないのに一二〇と言ってきたりする。同じ会社でも組織ごとに文化が違うからです。
 だから、できるだけ各組織の立ち位置を理解しつつ客観的な現状を見極めて、起きている変化を洗いだす。僕はよく「ビジネスを因数分解する」と表現しますが、一〇〇という同じ結果であっても、去年は一〇×一〇だったものが、今年は二〇×五と内容が変化しているかもしれないわけです。そうした変化を洗いだし、いいことなのか悪いことなのか、好機なのかをはっきりさせる。
(西村豊 リシュモン ジャパン)

 

 戦略、オペレーション、組織、モチベーション&インスピレーションという4つの軸でインサイトを集めていきます。その対象も、業績のデータだけでなく社 員やお客さまへのヒアリング、クレームの吟味、製品分析と広かった。すべてを先入観なしに見つめ直すと、本当に大事なことが見えてきます。
(平野拓也 日本マイクロソフト)

 

数字やデータは必ずしも出揃わない。そんなときは?

 

 何かを判断するとき、裏づけとなるデータは大切です。でも、データなど検討材料はたくさんあればあるほどいい、というわけでもありません。また、数字を見て判断すべきときと、そうでないときがある。むしろ、大事なのは、自分の感覚ではないでしょうか。あとは、データだけに振り回されずに、周りの人の意見を聞くことですね。
(三村浩一 スリーエム ジャパン)


 

 ロジカルシンキングや分析力、判断力もたしかに大事ですが、それだけが経営ではない。そもそも、すべてのデータなんて出揃わないし、完璧な分析なんてできるわけがない。打ち手が間違っているときもある。経営者やリーダーは、全容を掴めないなりに創造力で世の中の流れを読んで、その都度、最適な手を打つ判断力が問われるんです。過去の経験や定石へのこだわりを捨て、そのときどきの因果関係を理解しつつ、データもない中で挑む。そういうゲームに強くなければいけません。
(留目真伸 レノボ・グループ)


 いかがでしたか。数字を客観的に分析することで、未来へのヒントを見いだしつつ、数字だけに寄りかからない姿勢が重要なようです。

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