須藤龍也、佐藤恵子
2016年4月13日05時07分
事件解決か、それともプライバシー保護か。テロ容疑者が使っていたiPhone(アイフォーン)をめぐり、データのロック機能解除を求める米連邦捜査局(FBI)と米アップル社との対立は、解除に成功したという外部の協力者が現れ、思わぬ展開で幕を閉じた。ロックが破られるとは、どういうことなのか?
「見たらぞっとしますよ」
FBIのロック解除に協力したとされるイスラエルのIT企業「セレブライト社」。その親会社で日本の通信機器大手「サン電子」(愛知県)の事務所を訪ねると、担当者が自身のiPhoneに広辞苑ほどの大きさの「ある機器」をつないでロックを解除し、取り出したデータをパソコン画面で見せてくれた。電話やメールの発信・着信履歴や電話番号、SNSのやりとり、カメラ画像の撮影場所、閲覧したサイトのアドレスなどが時系列に表示されていた。
項目の脇に「×」がついているのは、消去したデータを復元したものという。画面のメニューを二つ三つ、タッチするだけで簡単に取り出すことができた。「現代人はスマホを手放せない。データをたどれば、その人の生活スタイルがわかる」。見てはいけないものを見てしまった気がした。
■犯罪捜査用に開発
この機器は犯罪捜査用に開発され、1万機種を超える携帯電話やスマホのデータが取り出せるという。日本を含め世界の捜査機関に納入されており、1台100万円前後。昨年11月のパリ同時多発テロ事件で容疑者のスマホ解析にも使われたという。
iPhoneのロック解除問題は昨年12月、14人が殺害された米カリフォルニア州のテロ事件をめぐり、FBIが容疑者のiPhoneに残るデータを分析するためにロック解除のソフトを作るようアップルに要請したが、「顧客のデータとプライバシーを守る責務がある」などと拒否された。
実際、今回の機器でデータが取り出されたのか。サン電子の担当者は、肯定も否定もしなかった。
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