2016年4月12日19時39分
日本の女性放送ジャーナリストの草分けで、40年以上にわたってラジオ番組のパーソナリティーとして活躍した評論家の秋山ちえ子(あきやま・ちえこ、本名橘川ちゑ〈きっかわ・ちえ〉)さんが6日、呼吸器感染症のため東京都目黒区の自宅で死去した。99歳だった。葬儀は近親者で営んだ。
仙台市出身。ろうあ学校教師などを経て、48年のNHKラジオ「婦人の時間」で戦後女性の視野を広めるためのリポーターを担当。生活者の視点からの論評は、柔らかな語り口ながら世相への切り込みが鋭く、54年に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。
57年に始まったTBSラジオ「秋山ちえ子の談話室」(スタート時は「昼の話題」)は、暮らしのささやかな話題から時事問題まで扱うコラム的番組として人気になり、02年まで1万2512回も続く長寿番組となった。その後は、05年まで週1回の「日曜談話室」でマイクに向かった。
障害者や高齢者を巡る問題、平和問題にも関心が高く、毎年8月には戦時中の実話にもとづいた物語「かわいそうなぞう」の朗読をラジオ番組で流した。昨年まで48回続け、これが本の復刊や英仏語訳の出版につながった。
91年菊池寛賞、99年エイボン女性大賞受賞。著書に「風の流れに添って」「さよならを言うまえに」など。
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朝日新聞社会部
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