監督 | スパイク・リー |
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脚本 | スパイク・リー |
制作 | スパイク・リー |
キャスト |
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公開年 | 1989年 |
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製作国 | アメリカ合衆国 |
上映時間 | 120分 |
ジャンル | 社会派 |
スパイク・リー『ドゥ・ザ・ライト・シング』
1957年3月20日ジョージア州のアトランタ生まれの、黒人初のメジャー監督であるスパイク・リー。そんな彼の代表作が『ドゥ・ザ・ライト・シング』です。未見ながら、クソかっこいい映画だという評判は聞いていたので、今回もお手軽な定額配信を利用して観てみました。なんせタイトルがいいですよね〜。「正しい事をしろ」ですって!!どんな映画なのでしょうか。正しい事とは一体何なのでしょうか?期待が高まります!
ブルックリンの均衡
舞台はニューヨークのブルックリン。貧しい黒人とプエルトリコ系が大半を占めるこの地域には、イタリア系アジア系など複数の民族がひしめき合って暮らしていました。そこに流れるのはクセのある住人たちとの明るく楽しい時間なのだけど、複数の人種やコミュニティが共存しているがゆえの緊張感が漂い、暴力の気配を湛えながらもギリギリの均衡を保っていました。主人公の黒人ムーキーはイタリア系アメリカ人サルの経営するピザ屋で働いていました。しかしある日、ムーキーの周辺で起きた小さなトラブルによって街の均衡が崩れ、暴力が雪崩の様に広がって…………。
構図と色がバッキバキ!ヒップでホップなカッケー映画!
終始画面が映し出すのは、蒸し暑い夏のブルックリン。そこで気ままに生きている人々の姿。昼間っから酒飲んだり、街をフラフラしてるだけで働いてなさそうな奴が山程出てきます(笑)そこで交わされる黒人同士の会話、というより口喧嘩を聞いてるだけでも面白いです!!!!ファッションや音楽などの黒人文化を、キレッキレの構図と色彩で映します。泥臭いながらもスタイリッシュ!!!!
スパイク・リーの冷静さ
スパイク・リー本人が演じる、主人公のムーキーはごくごく普通の黒人の青年として描かれています。彼は決して英雄にはなりません。ストーリー上、彼にはある事件を平和的に収めるような英雄的行動をとれる可能性がありました。むしろ彼にしかその悲劇を止める事はできなかったかもしれません。しかし、彼はその英雄的行動を取らないばかりか、更なる暴力への引き金を引きます。彼が選んだ幼すぎる選択に、観ながら呆然としてしましました。しかし、すぐにその選択がとてつもなく生々しく、この考え方がこの街だけでなく世界の人種間の衝突のハードな現実だということに気付かされました。物分かりの良い大人でも英雄でも金持ちでも天才でもない、ただのごくごく普通の貧しい青年の彼には、このような現実に直面した時に、そうするのが自然なことなのかもしれません。人種間の衝突って、単に人種差別や偏見によって起こる事ではなくて、生活の苦しいさや、生きる上での不条理に直面した時に、その捌け口として、他人種を攻撃しているだけなのかもしれません。このような切り口で、誰が悪いとか、何が悪いとかで語らずに、人種間の衝突の問題を、その問題の複雑さをそのままに描いた、誠意ある映画でした。スパイク・リーの問題の本質を捉えようとする真摯な手つきにシビレます!!信頼できる男です!!正しい事ができないような、現実。その悲しいリアルがそこにはありました。
衝動が詰まった映画
若い頃のサミュエルL・ジャクソンが陽気にぶちかましてます!!!あと、音楽はパブリック・エネミーですね。この時代の彼らの勢いを感じられるだけでなく、止めどなくラジカセから流し続ける音楽がパブリック・エネミーであることが、思想とカルチャーと生活の複雑な絡みあいをより強く意識させ、物語上大きな役割を果たしています。そしてなによりクライマックスの暴動シーンの生々しい迫力!!衝動が写っています!!暴動を眺めるムーキーの虚ろな目が頭から離れません。それはこの問題を見つめるスパイク・リー本人の目と重なります。いろんな角度から楽しめる、超名作なので未見の方は是非!!!!!!
*紹介している作品は、2016年4月時点の情報です。現在は配信終了している場合もありま すので、詳細は Hulu の公式ホームページにてご確認ください。
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