第27回 街の森の見つけかた
2016.04.12更新
もしも自分の世界観を根底から覆すものと出会ったら、あなたはどうしますか?
僕は「それら」と出会って、それらを身近に感じられる環境に自分の身を置くため に、森の案内人という仕事を作りました。
「それら」については、前々回と前回に書かせてもらいました。よかったら読んでみて ください。
それらは、僕にとって、あまりにも巨大な存在です。
まるで、乾いた落ち葉が風を受けて、アスファルトの道をカラカラと転がっていくみた いに、自分の人生があれよあれよと流されているのを感じています。
今回からは、いよいよ実用編、「 街の中の、森の見つけかた 」です。
行動に移したら、街の中でも森が確実に見つかる方法です。
いやあ、力んでいるのは、僕だけでしょうか・・・。
「間(はざま)を意識しながら、目線を下に向けて、キョロキョロしよう」
最初からつまずいてしまう感じですが、日本中の街の中に、森はほとんどありません。
ただ具体的に書くと、現時点では、街の中に森がありません。
現時点で森がなければ、これから起こる1つの可能性として、街の中に生まれるかもし れない、未来の森を見ていきましょう。
未来の森の主役がどこからやってくるのかというと、彼らは下から、つまり地面から生 えてきます。
だから、街の森の見つけ方は、まず目線を下へ向けることから始まります。
でも単純に、草木は下から生えてくるわけではありません。
とくに街の地面は、あらゆる物質を跳ね返す固いアスファルトやブロックで覆われています。ただでさえ小さな草木の種が、そんな地面に根を下ろすことは至難の業のように思 えます。
それでは、そんな街中の地面から、草木たちは、どのようにして芽吹きはじめることができるのでしょうか?
彼らの生き方は、じつにスマートです。
とくに種の時は、自分の非力もてつだって正面突破はできません。
正面突破が無理なら、どこから行くか。それは「 間(はざま)から 」です。
人が街をどれほど堅牢に造り上げたとしても、そこには必ず「間(はざま)」が生まれます。
一見すると間(はざま)がない場所でも、物質と物質が隣り合う所(たとえばブロッ クとブロックの間など)には間(はざま)がありますし、月日が経てば、固いアスファ ルトやコンクリートでも亀裂が生じ、間(はざま)が生まれます。
彼らはそこから芽吹きはじめます。
一度、気にしながら歩いてみてください。
思っていた以上に、草木(とくに小さな草)が、元気よく芽吹いていると思います。
神社を見つけて、そこにはどんな木が生えているか、
大きな木を中心に眺めてみよう
どんな街中でも、あたりを少し散策すると、ほぼ間違いなく徒歩圏内にあるもの。それが神社です。
神社の境内は、その場所自体が神聖な場所とされているので、その場所に対して、人は 畏敬の念を持って接します。
特定の場所に対して人が畏敬の念を持った時、私たちがとる行動は2つあります。
1つは掃き清めること。
もう1つは下手に手を加えないこと。
神社がその場所に鎮座している月日が長ければ長いほど、境内の中で人が掃き清め続けている場所と、下手に手を加えていない場所の二極化とその断層は、荘厳なまでに際立っていきます。
掃き清めつづけていると、その場はまるで、できたてほやほやの新鮮な地面でありつづけます。
それでは特定の場所に対して、下手に手を加えないと、そこは一体どうなっていくのか?
そう、森になります。月日とともに、そこは深淵な森になっていきます。
神社の境内にある森のことを、鎮守の杜(ちんじゅのもり)といいます。
鎮守の杜に生えている木の多くは、人が住み始めるはるか以前の太古から、そこに広がっ ていた森の構成種であることが多いです。
先ほどの、間(はざま)から芽生える草木が未来の森だとすれば、鎮守の杜は過去から続いている森です。
人がみだりに手を加えてこなかったので、神社の境内には原始の自然が宿っています。
原始の自然とは、日本の場合、ほぼ森です。
神社の境内に広がっている森を、ゆっくりと眺めてみましょう。
どんな木が生えているのか、木の種類を克明に調べてみるのも楽しいですが、ただ眺めてみるのも、とてもおすすめです。これは僕の個人的な感覚ですが、鎮守の杜の中でぼーっとしていると、なんとなく元気になる気がします。
とくに大きな木に注目してみましょう。その木は、太古からつづく森の主の可能性があります。
公園ではなく、あくまで神社であることが重要です。
でも、神社ほどではありませんが、あまり手入れが行き届いていない庭や公園でも、森 の片鱗を感じることができます。
財政状況が厳しい自治体が管理している公園や、住んでいる人がいなくなった家屋の庭には、それなりの茂みが生まれています。薮になっているとも言いますが、森になりはじめているとも言えます。
次回につづく