娘の負け!大塚家具親子法廷バトル“第2ラウンド”は久美子社長が敗訴
大塚家具の創業者で前会長の大塚勝久氏(72)が、長女の久美子社長(48)が役員を務める大塚家の資産管理会社「ききょう企画」に社債返還を求めた民事裁判の判決で東京地裁(小野瀬厚裁判長)は11日、ききょう企画側に15億円の支払いを命じた。経営権を巡って親子が事実上の絶縁となったことで、償還期限の延長が合意されていなかったと裁判所は判断し勝久氏の全面勝訴となった。大塚家具の経営に直接影響はないとみられるが、久美子氏には手痛い敗訴となった。
昨年3月の株主総会で勝久氏の社長復帰のもくろみを退け、株主の支持を得てトップの座を守った久美子氏が、法廷に戦いの場を移しての父娘対決の“第2ラウンド”では完敗。多額の支払いを命じられた。
裁判は、2008年に勝久氏がききょう企画に対して大塚家具の株式130万株を譲渡した際に、勝久氏を引受人とする15億円の社債が発行されたが、期限の13年4月になっても償還されなかったため返還を求めたもの。資金がない場合は相当金額の株式での返還も認めるとし、130万株が全株式の7%弱にあたることから、経営権争いに大きく関わるとして注目された。
久美子氏側は「一連の仕組みは相続対策の一環で、13年2月の(ききょう企画の)取締役会で償還期限が延長されると合意されていた」と主張。一方、勝久氏は昨年7月に出廷した際、「償還期限の自動延長は一度も言われたことがない」と証言した。判決は「(延長に関する)書面もなく、正式な合意とは認められない」として、久美子氏側の主張を退けた。
今回の裁判は、そもそも、親子が仲たがいしなければ、争うことはなかった。勝久氏も証言で「(ききょう企画の)社債を引き受けたのは、子供たちの生活費を援助するつもりだった」としており、当初は子供たちのことを思ってのことだったが、対立により久美子氏が15億円もの大金を用意する必要が出てきた。
久美子氏側の弁護士は「主張が認められず遺憾だ。判決は、ききょう企画が保有する大塚家具株には影響しない」とコメント。株式での代物弁済はせず、借り入れなどによって、資金を調達するとみられる。株式の移動がなければ大塚家具本体の経営とは切り離された今回の問題だが“同族経営”の会社だけに、イメージの低下が生じる恐れはある。
昨年4月に経営権を握って以降、勝久氏の色を打ち消し、独自の戦略を打ち出した久美子氏は、積極的に値引きセールを行ったり、中価格帯中心の品ぞろえを充実。ロゴマークの変更も行った。昨年の売上高は14年を25億円上回り、経常利益も黒字化したが、今年に入っての3か月の売上高は、いずれも前年同月比でマイナスを記録している。こうした中での敗訴だけに、4月以降の売り上げへの影響が気になるところだ。
◆大塚家具 1969年、大塚勝久氏が埼玉・春日部市で家具・インテリア販売店として「大塚家具センター」を設立。78年に東京に進出し、社名を「大塚家具」に変更。80年に株式を店頭公開。93年、ショールームで会員制を導入し、96年に大型ショールームの全国展開を開始する。現在、全国に16店舗。