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【政治】

米国務長官、広島で献花 G7英仏外相ら平和公園訪問

 先進七カ国(G7)外相会合出席のため来日中の米国のケリー国務長官らG7外相は十一日午前、そろって広島市内の平和記念公園を訪れた。核を保有する米英仏三カ国の現職外相による訪問は初めて。G7外相は公園内の平和記念資料館を見学後、原爆死没者の慰霊碑に花輪をささげた。ケリー氏の提案で、予定になかった世界遺産の原爆ドームも訪問した。核保有国と非保有国が「核兵器なき世界」実現に向けて協力する姿勢をアピールした。 (篠ケ瀬祐司、生島章弘)

 岸田文雄外相は訪問後、「『核兵器のない世界』に向けた機運を再び盛り上げるための歴史的な一歩になったと思う」とのコメントを出した。

 ケリー氏は訪問に先立ち十一日午前に行われた日米外相会談で「広島訪問は特別な意味を持つ。平和記念公園訪問は世界の安全のための強い日米同盟の存在と世界平和の重要性を示すものになる」と述べた。

 岸田氏らは資料館の見学後、湯崎英彦広島県知事や松井一実広島市長に先導され、約五十メートル離れた原爆死没者の慰霊碑にゆっくりと歩を進めた。両脇には地元の小学生八百人が出迎え、各国の国旗の小旗を振り歓迎した。

 慰霊碑の前では、別の子どもたちが花輪を渡した。岸田氏が左隣のケリー氏らに合図を送ると、数歩進んで一斉に花輪をささげた。献花後、岸田氏とケリー氏が短く言葉を交わした。献花台を降りたケリー氏らは子どもたちから折り鶴の首飾りを贈られ、一緒に写真に納まった。引き続き、原爆ドームを十分以上にわたり見学した。公園を訪問したのは岸田、ケリー両氏のほか英国のハモンド、フランスのエロー、ドイツのシュタインマイヤー、イタリアのジェンティローニ、カナダのディオンの各外相。欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表も参加した。

 G7外相の同公園訪問は唯一の戦争被爆国である日本の強い意向で実現した。資料館には一九四五年八月六日の原爆投下直後の市内や大やけどを負った市民らの写真、焼け焦げた遺品などが展示されている。外相が核兵器使用による惨状と向き合うことで、足踏みする核軍縮への国際的な機運を高めることを目指す。

 日本側にはケリー氏の広島訪問が、五月末の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に出席するオバマ大統領による被爆地訪問を後押しするとの期待もある。

◆ケリー氏発案 ドームも視察

 G7外相が十一日午前、広島市内で世界遺産の原爆ドームを視察したのは当初の予定にはなく、ケリー米国務長官の発案で急きょ実現した。外相らは平和記念公園で原爆死没者の慰霊碑に献花した後、昼食会合のため会場に戻るはずだったが、予定を変更。公園の北側にある原爆ドームまで三分ほど歩いて移動し、十分以上にわたって見学した。

 原爆ドーム(旧産業奨励館)は一九四五年八月六日の原爆投下で、爆心地の至近距離にあり被爆。惨禍を後世に伝えるため保存されている。

 <平和記念公園> 原爆の爆心地に近い広島市中心部に、世界の恒久平和を願って整備された公園。建築家の丹下健三氏らが設計し、1954年に完成した。世界遺産の原爆ドームや原爆慰霊碑、原爆資料館、広島国際会議場などがあり、原爆が投下された8月6日には平和記念式典が開かれる。被爆死没者の名簿が納められている原爆慰霊碑には「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」との碑文が刻まれている。

(東京新聞)

原爆慰霊碑に献花する(左から)エロー仏外相、ジェンティローニ伊外相、シュタインマイヤー独外相、岸田外相、ケリー米国務長官、ハモンド英外相、ディオン・カナダ外相、欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表=11日、広島市の平和記念公園で(代表撮影)

原爆慰霊碑に献花する(左から)エロー仏外相、ジェンティローニ伊外相、シュタインマイヤー独外相、岸田外相、ケリー米国務長官、ハモンド英外相、ディオン・カナダ外相、欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表=11日、広島市の平和記念公園で(代表撮影)
 

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