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五輪候補が賭博 自覚を促す選手教育を

 日本バドミントン界の新旧エースによる不祥事が発覚した。

     8月のリオデジャネイロ五輪でメダル獲得が期待される全日本王者の桃田賢斗選手(21)とロンドン五輪代表の田児賢一選手(26)が東京都内などの違法カジノ店に出入りして賭博行為を繰り返していた。桃田選手は約50万円、誘った田児選手は約1000万円を損したという。

     2人が所属するNTT東日本の社内調査では他にも男子のバドミントン部員6人が同じ店でバカラ賭博をしていた。高額な現金がやり取りされる違法カジノ店は暴力団の資金源で、この店も昨春警視庁に摘発され、賭博開張図利などの容疑で経営者や客らが逮捕された。こうした場に出入りするのは反社会的勢力とのつながりが生まれる恐れがある。

     2人は記者会見で謝罪した後、賭博は法律に違反するとの認識があったが、徐々に感覚がまひしていったことを明らかにした。1回で数万円から数十万円に及んだ賭け金は国際大会で獲得した賞金や給与などで賄い、田児選手は部員から1000万円を超える借金をしていた。会社は管理体制を見直す必要がある。

     桃田選手は昨年の世界選手権で日本男子として初のメダル(銅)を獲得するなど急速に力をつけた。最新の世界ランキングは2位。リオ五輪の日本代表に選ばれるのは確実で、メダル獲得の有力候補だった。

     バドミントンを人気競技にしたいがためにリオ五輪での金メダル獲得を公言していたのは桃田選手だった。親元を離れ、中学、高校時代を過ごした福島を「第二の故郷」と呼び、「リオ五輪で、福島の人に良いニュースを届け、結果で恩返ししたい」と話していた。復興の象徴でもあっただけに残念でならない。

     日本バドミントン協会は事態の重大さを踏まえ、選手派遣の権限を持つ日本オリンピック委員会に推薦しない方針だ。五輪への道を断たれる本人は悔しいだろうが、応援していた人たちの思いを裏切る行動の結果であり、やむを得ない。

     日本協会は近く厳正な処分を下す方針だが、選手としての将来に配慮したものであってほしい。

     世界を舞台に活躍するスポーツ選手は子どもたちにとって、あこがれの存在だ。社会人としても自らの行動を律しなければならないのに賭博の誘惑を断ち切れなかったのは社会経験の少なさも一因だろう。

     4年後の東京五輪に向け、国が主導する強化策が進む。企業に所属するアマチュア選手も海外遠征の機会が増え、賞金を手にすることが当たり前になっている。各競技団体は自覚ある行動を促す選手教育などを改めて徹底してほしい。

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