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患者が体調記録する専用アプリ開発

04月11日 21時03分

患者が体調記録する専用アプリ開発

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「ニュースほっと関西」(夕方6時10分~)で4月11日(月)に放送したリポートです。

続いては、「脳脊髄液漏出症」という病気に関わる話です。
交通事故などが原因で起きる病気で、その治療に対して、今月から、保険が適用されるようになりました。
長年、病気に苦しんだ患者が、同じような病気の人たちのためにアプリを開発しました。
どんなアプリか、患者の思いを取材しました。


姫路市に住む田中俊二さん(51)。
13年前、岡山県で運転中に追突されました。
大きなけがは、ありませんでしたが、翌日から、激しい頭痛とめまいに襲われました。
(田中俊二さんの話)。
「頭に稲妻、電気が走ったような感じ。翌日、目が覚めたらとんでもない、船に乗った感じ」。

田中さんは、ほぼ寝たきりの生活になります。
路線バスの運転手をしていましたが、辞めざるを得ませんでした。
しかし、原因は分からないままでした。
周りからは、本当は働けるのではないかと言われたと言います。
いくつもの病院を巡り、5人目の医師の診断でようやく症状の原因が分かりました。
「脳脊髄液漏出症」でした。
この病気は、事故などで衝撃を受けたあと、脳や脊髄を包む液が漏れ出すことで起こります。
当時は、そうした病気があることすらほとんど知られていませんでした。

(田中俊二さんの話)。
「当初は、一時的なもんだと、症状はきつかったけれど、一時的なものと信じたかったですね。ただ自分が訴えている症状とお医者さんが答えてくれる内容にはすごいギャップがあったもんで」。

治療も、保険の適用外だったため、患者や医師が署名活動をして、検査や治療できる体制を整えるよう求めました。
また、田中さんは、症状の原因が事故であることを証明するため裁判を起こします。
裁判所は、田中さんの訴えを認めましたが、判決までに10年がかかりました。

(田中俊二さんの話)。
「これが闘病日誌です」。
その際、役だったのが、事故の直後から書いていた日誌です。
体のどの部分に不調があるか、細かくメモしていました。
しかし、「脳脊髄液漏出症」の患者は、座るのも一苦労で、ノートをつけ続けるのは大きな負担でした。

(田中俊二さんの話)。
「周りに分かってもらうというか自分がどういう状況であったかというのを把握するのが重要だった。
ノートに書くのは本当に大変だった」。

判決のあと、田中さんは、同じような病気で悩む人へのサポートを考えるようになりました。
そこで開発したのが、スマートフォンやタブレットで利用できるアプリ。
完成まで、3年かかりました。
日記の形式になっていて、体のどこに痛みがあるかや、病院の通院記録、食事などさまざまなデータを入力できます。

(田中俊二さんの話)。
「はっきりいうと日々ずっと痛いでしょ。その程度が良くなっているのか悪くなっているのか」。
この病気の治療に携わる国立病院機構福山医療センターの守山英二医師です。
このアプリが、患者にとって、大きな助けになると考えています。

(国立病院機構福山医療センター・守山英二医師の話)「患者さんにとって座って日記をつけるという行為自体かなり大変じゃないかと。記録を残したくても残せない人、疲れ果てて頭が痛くて起き上がれない人もいたはずなので、治療する側の参考にもなるし、交通事故で損保ともめたときにも記録が役にたつ可能性がある」。

(田中俊二さんの話)。
「僕は事故をして体調を崩したからこそこうしたものが必要だと感じた。私のためにやっていたが、他の人にも最悪を回避できるようになってほしい」。

このアプリ、無料で利用できます。
田中さんは「脳脊髄液漏出症」だけでなく、原因がわからない症状に悩む多くの患者の手助けになりたいと話していました。

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