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虚弱高校生が世界最強となるまでの異世界武者修行日誌 作者:力水

第1章 異世界武者修行編

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第13話 迷宮探索(2)

  
 少し早めの昼食を食べて、迷宮探索を開始する。今日は迷宮の7階層の袋小路からの出発だ。
 転移をしようとするができない。どうやら【至高の指輪】に記録された場所しか転移できないようだ。【万能の腕輪】を装備し、それにステラとアリスを触れさせて迷宮第7階層へ転移した。


 今日も僕がマッピングと紅石の採取、ステラとアリスは戦闘という役割分担だ。
 僕らは黙々と下の階層へと歩を進める。
 第10階層はボスフロアらしく、一部屋の巨大な空間となっていた。
下層への階段を下りると今までの薄青色の石壁の風景から赤茶けた石天井、石壁へと一変する。
 足元には砂嵐の遺残と思しきサラサラの砂が一面に張り巡らされている。足が僅かに砂にとられ若干歩きにくいが行動に支障が出る程度ではない。
 11階層になってから魔物のレベルが上昇した。もっともまだ依然として5~6レベルであり、適正レベルには程遠い。
 今日のステラ達の戦闘スタイルは昨日と同様魔物(モンスター)とエンカウント次第、ステラが弓で、アリスが剣で殲滅する方法を採用している。
まだステラ達は魔術の基礎理論の概要を学んだにすぎず、具体的な魔術の行使までは覚えていない。それ故だ。
 もっとも昨日と異なることも勿論ある。
【魔道弓】の扱いに慣れてきたステラは刻印を刻む速さが以前とは段違いとなっていた。視認した者全てに瞬時に刻印を刻み殲滅できるようになっていたのだ。このことにより魔物(モンスター)はステラが8割方屠ることとなる。
ステラは戦闘になると一切の容赦がなくなり、いつも全力投球となる。従って普段なら気付くはずのアリスの変化に気づけない。
ほとんどステラが滅殺するので出番が亡くなったアリスは機嫌が殊の外悪かった。さらにいつも構ってくれるステラが戦闘に夢中になり最低限の話しかしてくれないのもそれに拍車をかけていた。
遂に暗い表情でブツブツと呟くようになる。
そして事は起こる――。
通路の遥か向こうから2匹の【巨大蠍】がカサカサとこちらに接近してくるのが見えた。いつものようにステラの【魔道弓】の刻印が刻まれる。
アリスは神妙な顔で身をかがめ柄に右手を軽く触れていた。ステラが矢を放とうとしたので右手で制し見ているよう指示する。

「ハッ!」

 アリスは右手で柄を握り高速で横一文字に振りぬいた。
 シュンッという快音と共にアリスの刀から三日月状の巨大な風の刃が発生し、2匹の【巨大蠍】を切断せんと高速で猛進する。
 風の刃は2匹の【巨大蠍】を横断し遥か向こうの壁に衝突し、轟音と爆風をまき散らす。
 その生じた爆風により【巨大蠍】の上半身は緑色の血飛沫をまき散らし、ドサッと地面へ衝突する。

「やった! できたよ。お姉ちゃん! マスター!」

アリスが刀を天にかざして歓喜の声を張り上げる。
アリスが新しい剣技を編み出した。今までも何度か似たような仕草をしていたが、この技の開発だったようだ。
ステラに頭を撫でられ口元がほころばせている様子からも、ステラに褒めてもらいたい一心からの事だろう。子供の可能性と純粋さは本当に恐ろしい。


 その後も順調に迷宮探索を行うが他の冒険者達がステラ達の瞬殺劇を多数目撃し、目を見張っていた。
頬を上気させた筋肉質の男性冒険者達から熱烈な視線を受けていることからも、ステラ達がグラムの街で噂になるのは確実だ。
目立ちたくない僕としては多少マイナスではあるが、僕は戦闘に参加せず、紅石とマッピングのみを行っているだけだ。おそらく僕自体は単なる従者のようなイメージしか持たれていまい。

午後19時、地下18階層の袋小路で迷宮探索を終了した。

 今日の僕らの迷宮探索の成果は次の通りだ。

《終焉の迷宮》到達階数――第18階層。
 討伐魔物
○白大芋虫(LV4)――13匹
○衣狐(LV4)――15匹
○砂大鼠(LV5)――35匹
○砂漠大蜘蛛(LV5)――38匹
○巨大蠍(LV6)――36匹
○砂熊(LV6)――22匹

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             ステータス
【楠恭弥】
★レベル:27
★能力値:HP800/800 MP830/830 筋力271 耐久力273 俊敏性274 器用271 魔力275 魔力耐性271
★スキル:《進化LV5(12/10000)》、《眷属軍化LV2(4470/5000)》、《爆炎剣術LV4(3860/5000)》、《爆炎糸LV4(3860/5000)》、《奈落蜘蛛召喚LV4(3860/5000)》
★魔術:《創造魔術(クリエイトマジック)》、《錬金工術》、《呪術》
★EXP:8304/9000
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 スキルのレベルが上がった。特に凄まじかったのは【進化】と【眷属軍化】だ。
 【進化】は獲得経験値・スキルポイントが16倍から32倍となった。
 16倍でも今日一日でステラとアリスがレベル22まで到達したのだ。明日からはさらにレベルの上昇がエスカレートすることだろう。
【眷属軍化】も無茶苦茶だ。今まで1つだった眷属が主の指定する魔術・スキルを2つまで使用可能となった。
 これでステラ達にまた一つ魔術・スキルを渡す事が出来る。試しに《創造魔術(クリエイトマジック)》を渡そうとするができないようだ。
 《錬金工術》を試しにステラに渡してみるが、これも無理だった。混沌(アビス)の使用は眷属には不可能ということなのだろう。
 もっとも、《眷属軍化》を生んだのは《創造魔術(クリエイトマジック)》だ。僕の予想では眷属にはどの道この魔術は扱うことは不可能だろう。
 それにしても、スキルを持つ魔物(モンスター)は思いのほかいないものだ。
 今まであった魔物でスキルを保有していたのは【黒蜘蛛】と【魔双頭鰐】だけだ。
 特に【魔双頭鰐】はレベル12にしては反則的なほど強かった。尻尾だけでも動いていたし、経験値やスキルポイントもかなり高かったと記憶している。
 もしかしたら、スキルを持つ魔物は特殊な魔物なのかもしれない。

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             ステータス
【ステラ・ランバート】
★レベル:22
★能力値:HP400/400 MP880/880 筋力121 耐久力123 俊敏性160 器用120 魔力480 魔力耐性320
★スキル:《加護LV4(3860/5000)》、《進化LV5(12/10000)》
★魔術:《精霊召喚術》
★EXP:4/4000
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 ステラの魔力はすでに僕を超えた。やはり彼女は生粋の魔術師だ。これで魔術を覚えれば鬼に金棒というやつだろう。
 今日は聊か彼女達のレベルが上がりすぎた。しかも大してた苦労もせずにだ。
 そのせいか、ステラの僕に対する態度が以前にも増して恭しくなっているような気がする。そのうち拝まれそうで怖い。

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             ステータス
【アリス・ランバート】
★レベル:22
★能力値:HP970/970 MP350/350 筋力322 耐久力312 俊敏性225 器用223 魔力125 魔力耐性122
★スキル:《接続LV4(3860/5000)》、《剣術LV6(――)》、《空月斬LV6(――)》、《進化LV5(12/10000)》
★EXP:4/4000
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 アリスはステラとは対照的に筋力と耐久力重視のファイタータイプ。魔術は白魔術中心の戦い方を好む魔術師になるだろう。
地球で言えば藤丸に近いタイプだ。

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             【空月斬】
★説明:高速で刀を振り、三日月状の真空破を発生し遠方の敵を倒す。威力は【器用】に依存する。
・《追跡》:視認した相手を自動追跡する。
・《空月乱舞》:無数の三日月状の真空破を発生し敵を倒す。
★LV6:(――)
★ランク:一般(ノーマル)
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 アリスが編み出した新スキル――【空月斬】だ。壁を粉々にしたことと言い、強さはかなりものだ。しかも、自動追跡の効果もあり使い勝手もよい。
 ただ、威力が強すぎるのが玉に瑕かもしれない。
 お読みいただきありがとうございます。
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