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虚弱高校生が世界最強となるまでの異世界武者修行日誌 作者:力水

第1章 異世界武者修行編

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第11話 迷宮探索(第一試練)

 
 皆で昼食をとり、その後迷宮攻略の準備をする。
 アリスの武器は兄さんの残してくれた武器の中から日本刀を拝借した。

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             【雷電】
★説明:雷の属性をもつ魔剣。MPを消費し対象物に雷を放つ。
★武器の性能:剣――+60 放つ雷の威力は所持者の【魔力】に依存する。
★魔力+60
★命中補正:僅かなずれを修正する。
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 武器の性能と魔力の上昇率だけなら僕の【ルイン】よりも強い。この武器に慣れるだけで上層の魔物(モンスター)は圧倒できると思われる。
 防具と靴はステラと同じ武具をアリスに装備させた。

ステラとアリスに屋敷の地下倉庫内にあった【解析の指輪(試作品)】と【転移の腕輪】を装備させ、その使い方を説明する。
さらに【眷属軍化】で僕の《進化》をステラ達が使用可能にして準備は出来上がり。


3人で宿屋ルージュに転移し、東区、東門を抜け、《終焉の迷宮》へ向けて歩を進める。
《終焉の迷宮》の入り口は一際大きな木造の建物の中にあった。

正面入り口から建物の中に入る。
建物内は武具屋、道具屋、飲食店、ご丁寧に酒場まで存在し、大勢の冒険者達で賑わっていた。

 店を突っ切り、入り口と正反対にある正面の大きな扉の前まで行く。
 扉の脇に視線を向けると、大きな石板がデンッと設置されているのが視界に飛び込んできた。これが試練のクリアを知らせる石板だろう。
 視線を扉の前に向ける。眼前には数組の冒険者のパーティーが列を作っており、冒険者組合から派遣された職員が対応していた。

最後尾で並んで待つと、僕らの番となる。

「冒険者カードをご提示ください」

 言葉使いは丁寧ではあるが、全く心が籠っていない声色で職員は僕らにカードの提示を求める。
 カードをポケットから出して見せる僕ら。

「良い冒険を」

 迷宮内に入ることを許可された僕らは巨大な扉を開けて中に入る。
扉の中は薄暗い階段が続いており、この階段を僕らは下りていく。
こうして僕らの初めての迷宮探索が開始された。




 地下1階の魔物(モンスター)は犬顔の亜人――【コボルト】と三つの角がある巨大兎――【三角兎】だった。
 いずれもレベルは3であり、平均能力値は10前後。今の武具を装備したステラ達はレベル6~7、平均能力値は50程度ある。ステラの弓とアリスの刀でほぼ一瞬で屠られていく。
 加えて、《眷属軍化》の力で獲得経験値とスキルポイントが共有され、なおかつ、LV3まで上昇した《進化》のスキルの効果により、たった30匹ほどを挽肉にしただけで彼女達のLVは11まで到達してしまった。
 これは若干僕の予想外の事態だ。そして、《進化》をすでに実体験している僕でもそうなのだ。ステラは自身に起こる変化にただ茫然としていた。アリスはそこら中を飛び跳ね走りまわっている。

「ステラが……レベル11? あんなに強いお父さんでもレベル15だったのに?
 たった数時間で?」

 自問自答するステラにアリスが頬を緩ませながら飛びつく。

「お姉ちゃん。お姉ちゃん。ボク、剣術スキルLV5になったよ」

 アリスの剣技は数十分前から別次元のものと化していた。
言葉で表せばそれは剣の舞。
一切の無駄を取り除いた小河の流水のように刀は滑らかな軌跡を描く。
横一文字に、笠懸に、垂直に剣を振ると、魔物(モンスター)にいくつもの切れ込みが入りバラバラの肉塊へと変貌する。  
それはまるで、数十年の修行を経た老獪な剣豪のような立ち回りだ。近くにいる冒険者達は目を見張っていた。

「ここで僕らが修行すると適正レベルの冒険者の邪魔になる。下層へ進もう!」

 昨日のシェリの説明では、この《終焉の迷宮》では魔物(モンスター)は倒してもいなくなることはない。
 これは午前零時に一斉に死んだ魔物(モンスター)と同種類・同数の魔物(モンスター)が湧き出る仕組みになっているからだ。
つまり、その日の各階層の魔物の数は固定されていることを意味するわけだ。
この非常識な仕組みにより、冒険権者達の間では適正な階層での魔物(モンスター)の討伐を行うことが暗黙のルールになっている。
 このルールに違反し高レベルのパーティーが上層で戦うと所属先のギルドへ苦情が殺到するらしい。
 現に今も周囲の冒険者からかなり白い眼で見られている。

「はい!」「うん!」

 二人とも僕の提案に異論はないようだ。
 僕らは迷宮の先へと歩き出す。


それからさらに2時間。現在午後18時ジャスト。
適正レベルの魔物(モンスター)を求めより下層へと侵入する僕たち。当面は魔物を倒す事よりも下層への到達を目的にしたこともあり7階層まで至ることができた。
しかし、以前として魔物(モンスター)はレベル4を超えずエンカウント次第、ステラの弓とアリスの剣で即殺を続けている。
僕が戦っても経験値とスキルポイントは《眷属軍化》により入るが、ステラ達は特殊な戦闘訓練を日常的に受けているわけではない。戦闘は今日が初めてだ。
まずは戦闘に慣れるのが先決と考えて今日僕はマッピングと紅石の採取に集中していた。

「もうそろそろ、頃良い時間だし家に戻ろう」

 ステラ達は今日が初出陣。自身で考えているより疲労はたまっているはず。たとえ弱くても迷宮内には魔物という敵がいる。無理は極力すべきではい。
 それに僕には錬金術の把握と【解析の指輪】と【万能の腕輪】を改良するべき目的がある。
僕が求める強さとは生き残る強さであり、単なるステータスの向上にはない。
故に迷宮に籠りっきりになるのは非効率的なのだ。

「え~、ボクもっと迷宮進みたい~!」

「ダメ!」「ダメです。マスターに従いなさい!」

 予想に違わずアリスがブー垂れるが僕とステラの多数決により終了となった。
 納得がいかない顔のアリスの手を引いて他の冒険者が足を運びそうもない袋小路から地球の僕の屋敷へと転移する。


僕らの今日の成果は以下の通り。

《終焉の迷宮》到達階数――第7階層。
 討伐魔物
○コボルト(LV3)――38匹
○三角兎(LV3)――37匹
○白大芋虫(LV4)――4匹
○衣狐(LV4)――3匹

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             ステータス
【楠恭弥】
★レベル:26
★能力値:HP790/790 MP800/800 筋力262 耐久力264 俊敏性263 器用264 魔力265 魔力耐性260
★スキル:《進化LV4(2/5000)》、《眷属軍化LV1(460/1000)》、《爆炎剣術LV2(360/500)》、《爆炎糸LV2(360/500)》、《奈落蜘蛛召喚LV2(360/500)》
★魔術:《創造魔術(クリエイトマジック)》、《錬金術》、《呪術》
★EXP:3104/8000
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 スキル持ちの魔物はいなかった。思ったよりもスキルを持つ魔物はレアなのかもしれない。
《進化》がまた上がった。

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             【進化】
★説明:必要経験値・スキルポイント50分の1。獲得経験値・スキルポイント16倍。
★LV4:(2/5000)
★ランク:至高
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 正直引く。ドン引きだ。適正LVで戦闘すれば10日もあればLVは100近くに到達すると思われる。

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             ステータス
【ステラ・ランバート】
★レベル:13
★能力値:HP280/280 MP280/400 筋力91 耐久力93 俊敏性131 器用90 魔力200 魔力耐性183
★スキル:《加護LV3(360/500)》、《進化LV4(2/5000)》、
★魔術:《精霊召喚術》
★EXP:234/400
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 ステラは生粋の魔術師だ。適切に魔術を覚えていけば優れた魔術師になれる。

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             ステータス
【アリス・ランバート】
★レベル:13
★能力値:HP450/450 MP230/230 筋力170 耐久力175 俊敏性153 器用155 魔71 魔力耐性73
★スキル:《加護LV3(360/500)》、《剣術LV6(――)》、《進化LV4(2/5000)》、
★EXP:234/400
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 アリスは剣術を使う魔術師。とうとう、剣術がLV6になった。僕の【爆炎剣術】を使えれば本来もっともいいんだけど。

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             【剣術】
★説明:刀剣により敵を倒す術の神級。
・《剣技閃》:新たな剣技を編み出す確率が大幅に増す。
・《剣技ラーニング》:視認した他者の剣技を自身のものとする。
・《剣技伝授》:自身の持つ剣技を他者に伝授する。
★LV6:(――)
★ランク:一般(ノーマル)
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 剣技とは技の事だろう。所謂、兜割とかだ。自在に技を編み出せるようになったし、他者の剣技をラーニング出来るようになったのも大きい。反則もいいところだ。

 お読みいただきありがとうございます。
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