認知症薬の投与 副作用説明し同意得た医師は3割

幻覚などの症状が現れた認知症の高齢者に投与される「抗精神病薬」について患者や家族に副作用を説明し同意を得ている医師はおよそ30%にとどまっていることが厚生労働省の研究班の調査で分かりました。
BPSDと呼ばれる認知症に伴う幻覚や妄想などの症状が出た場合症状を安定させるため抗精神病薬が投与されるケースが少なくありません。しかし、死亡率が高まったり重い副作用が出たりする危険性が指摘されているため厚生労働省の研究班はガイドラインを見直し、基本的には抗精神病薬を使用しないことや使用する際は患者や家族から同意を得るよう求めています。
厚生労働省の研究班は去年12月、抗精神病薬の使用の実態について調べるため、地域で認知症の診療に携わっている全国のかかりつけ医およそ500人を対象にアンケート調査を行いました。その結果、およそ半数の医師がBPSDを抑えるため抗精神病薬を使っていましたが、患者や家族に副作用を説明し同意を得ている医師はこのうちの28%にとどまっていることが分かりました。
調査を行った厚生労働省研究班の代表で順天堂大学の新井平伊教授は「3割の医師しか患者や家族から同意を得ていないのは問題だ。リスクとベネフィットを判断し同意を得たうえで治療に当たることが必要だ」と話しています。