日本では6日、ロシアと15日に外相会談を行うことが報じられた。5月には安倍首相とプーチン大統領の首脳会談が予定されている。日本とロシアが政治的に接近するなか、中国でも日ロ関係に注目が集まっている。中国の参考消息網はこのほど、日ロ関係の現状と今後について分析したロシアメディアの記事を掲載。関係改善の背景には、中国の影響もあることを紹介した。

 記事はロシアの専門家による討論会の内容を紹介。専門家たちは、なぜ日本政府はロシアとの関係改善に力を入れているのか、何が日ロ間の協力を妨げているのか、対立を強める米中関係に日ロ関係がどう影響を与えているのか、といった問題について話し合ったという。

 専門家によれば、東アジアは政治的に危うい地域と見なされてきたものの、中東やアフリカなどの火薬庫と比べれば「ずっと安定している」という。ロシアも含め、日本は周辺国との間に領土をめぐる対立を抱えているが、「日本にとって領土の対立は外交政策において最重要課題ではない」ため、周辺国との関係に急激な変化はなく、現状維持が続くと予測した。そのうえで、日ロ関係について「日本との協力を拡大するのは難しそうに見えるが、北朝鮮の核問題や海洋、環境、エネルギー保障などの分野では協力に成功してきた」と指摘、安倍政権は日ロ協力拡大の実用主義路線を取るだろうと論じた。

 別の専門家は、「日本は反ロシアではない」と主張。経済で成果が出せない安倍政権は外交を強化しており、「ある程度の譲歩や臨機応変さ、さらには支持率を犠牲にしても、ロシアとの関係改善を進める」と主張した。ロシアとの領土問題についても「妥協の方法」によって解決する方向へ傾くとした。

 さらに別の専門家は、中国の軍事力増大により、日本はロシアとの協力を強化せざるを得なくなったと主張。最近では中ロ関係も変化しており、ロシアは「北京に対して大きく譲歩する必要を感じなくなっている」という。そのため、ロシアと西洋諸国との関係が安定するなら、日ロ関係も回復できるとの見方を示した。

 記事で紹介された専門家の意見を見ると、ウクライナ問題に起因する欧米による経済制裁や、原油安によって経済的に苦しいロシアが、日本との関係改善に活路を見出そうとしている様子が垣間見える。一方で中国にとって日ロ関係の改善は、東アジアにおける中国の影響力低下にもつながることから警戒することは必至だ。これらのせめぎ合いのなかで日本は15日の外相会談や5月に予定されている安倍首相とプーチン大統領の非公式な首脳会談でどのような主張を行うのか。日ロ関係のみならず東アジアや世界の情勢を踏まえたうえでの結論が求められる。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)