ビッグ対談 子宮頸がんから女性を守る

公明新聞:2010年4月11日(日)付

対談する仁科亜季子さんと松あきら公明党女性委員長対談する仁科亜季子さんと松あきら公明党女性委員長

仁科 日本は“ワクチン後進国”
松 公明党は公費助成を推進

 「多くの女性に予防ワクチンを接種してほしい!」。自ら子宮頸がんで闘病生活を経験した女優の仁科亜季子さんは現在、同ワクチンの公費助成を求める活動を展開しています。仁科さんと、公明党の松あきら女性委員長が「子宮頸がんから女性を守る」をテーマに語り合いました。

仁科 患者は一生孤独な闘い
 病の正しい理解が大切

仁科亜季子さん  亜季子さん、いつお会いしても若々しいですね!

 仁科 いえいえ、松さんこそ、変わらずに輝いています!

  ありがとうございます(笑)。亜季子さんは先月、実行委員会の共同代表となって子宮頸がん予防ワクチンの公費助成に向けた活動を活発に繰り広げていますね。

仁科 はい。このワクチンは神様が全世界の女性に与えられた贈り物であり、警告だと私は思うんです。一人でも多くの女性に接種してほしいと願っています。それに、私の経験したすべての事を多くの方に聞いていただき、病気に立ち向かう勇気を持ってくださるといいなと思っています。

  本当に素晴らしい! 署名活動にも力を入れていますね。

 仁科 そうなんです。少しずつ賛同していただいて電子署名もだいぶ集まってきています。5月末に政府へ申し入れる予定です。

  私も心から応援しています。子宮頸がんは唯一、予防できるがんです。だからこそ、公明党は予防ワクチンの早期承認と公費助成の推進に全力を挙げてきました。

 仁科 日本でもこんなに素晴らしい画期的なワクチンが承認されたのに、認知度が低いのは非常に残念です。しかも子宮頸がんの場合、「細胞診」という発見の確率性が高い検査方法があるのに検診の受診率が低い。せっかく宿った胎児ごと子宮を摘出しなくてはならないケースもあり、本当に悲しい出来事が多いのが現実です。

  日本の受診率はOECD(経済協力開発機構)加盟の30カ国中、最低レベルという状況です。それに、日本の「ワクチン行政」は非常に遅れています。

 仁科 日本では、ワクチン接種が任意であり、必要な3回の接種に合計5万円前後の費用が必要です。これに対し、諸外国の多くは公費助成で接種を行っています。まさに日本は“ワクチン後進国”です。

  そうですね。特に子宮頸がんは、若い女性を中心に罹患が進んでいます。若い命を守るためにも、公費助成は必要です。

 仁科 私は二人の子を出産した後、38歳の時に子宮頸がんが発見されました。そして、子宮卵巣の全摘手術後4日目くらいから更年期障害のような症状になりました。寒気や急な発汗、頭痛や吐き気と、本当に辛かった……。そして、女性ホルモンの補充療法を10年続けたり、再発や転移という不安を抱えたりで、患者は一生、孤独な闘いを強いられます。だからこそ、予防できるものは予防すべきと……。

  手術をして悪いところを取ったら、後は大丈夫ということではないのですね。むしろ、手術後の対処の方が長く、辛いと……。

 仁科 そうなんです。それに、子宮の手術をした女性に高い確率で起こるのが排尿障害です。1時間半から2時間おきにトイレに行って、腹筋で行わないとだめなんです。

  辛い話を赤裸々に語っていただき、本当に恐縮です。だからこそ、正しい知識を広め、予防していくことが大切ですね。実際、子宮頸がんの原因がウイルス感染であることを知らない人が多い。

 仁科 その通りですね。実は子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)は、男性も持っているのです。

  普通に生活していても、知らない間に感染してしまうケースがあります。しかし、セクシャルデビュー(初交)する前の若いうちに予防ワクチンを接種すれば、備えることができます。

 仁科 だからこそ、第一予防でワクチンを接種して、第二予防で検診をしていくことが大切ですね。子宮を守ることは、「命の源」を守ることで、少子化対策にもつながっています。

仁科 女性議員の取組みに期待
 検診の受診率向上に全力


松あきら公明党女性委員長  予防ワクチンの接種とともに、検診も大切です。公明党は、2009年度第1次補正予算で一定年齢の方を対象に、乳がん、子宮頸がん検診の「無料クーポン」の配布を実現しました。私も国会で取り上げ、何度も政府に要請しました。

 仁科 先日、松さんの国会質問をテレビ中継で見ていたのですが、男性議員の方々のやじの多さに驚きました。でも、松さんは負けていませんでしたね(笑)。

  ありがとうございます(笑)。確かなデータを示しているのに、的外れなやじばかり。国会は、まだまだ“男性社会”で、こうした女性に関する問題の理解が深まっていません。「やじる暇があったら、もっと勉強しなさい!」と、私はいつも思っています。

 仁科 まったくその通りだと思います。以前、講演先で関係者から一部の地域では「クーポンのおかげで検診受診率が上がりました」という話を伺いました。しかし、それでも全国的には受診率が低いのが現状です。せっかくクーポンまでいただいているのに、それを無駄にするのは本当にもったいない!

  そうですね。だからこそ、私たちが正しい情報を伝え、広めていくことが大切です。

 仁科 公明党の浜四津敏子さんや松さんをはじめ、女性議員が信念を持って取り組んでいただくことは、本当に心強い。私も一緒にできることは微力ながらでも積極的に活動してまいりたいと思います。

  ありがとうございます。子宮頸がんから女性を守るため、これからも、共に頑張っていきましょう! 今日は大変にありがとうございました。

 仁科 こちらこそ、ありがとうございました。


仁科亜季子さん
にしな・あきこ 1953年生まれ。歌舞伎俳優の岩井半四郎氏の次女。学習院高等科在学中にスカウトされ、芸能界デビュー。91年に子宮頸がんを発症し、闘病生活を送る。今年3月、「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成推進実行委員会」を発起人の一人として設立し、現在、共同代表を務める。


仁科さんが共同代表を務める「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成推進実行委員会」は現在、子宮頸がん予防ワクチンの公費助成を求める署名活動を展開しています。

署名は、ホームページ(http://hpv.umin.jp/)上からでもできるほか、同ホームページ内にある署名用紙を印刷し、FAX(03-6850-0005)か、郵送(〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2ノ7ノ9ノ1Fオール・アズ・ワン内)でも行えます。署名期間は5月末まで。

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