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集団的自衛権と公明党
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政府・与党連絡会議であいさつする公明党の山口那津男代表(左)=2013年9月2日午後、東京・首相官邸【時事通信社】
消費税だけではない。集団的自衛権や選挙制度改正、憲法改正など、安倍首相が掲げる主張の中には、一内閣どころかいくつもの内閣が退陣に追い込まれてもおかしくないほどきわどい課題が多い。
これらのうち集団的自衛権の行使容認問題には、すでに暗雲が垂れ込め始めた。公明党が反対しているからだ。
最近、公明党幹部はあらゆる機会を通じて、集団的自衛権の行使を容認すべきではないと繰り返している。それでも安倍首相の決意は固いが、ついに漆原良夫・公明党国対委員長は8月中旬、親しいマスコミ関係者との会合で、連立政権からの離脱に言及した。
「集団的自衛権は、唯一連立離脱に値するテーマだ。首相が退かなければ、こっちが出るしかない」
もちろん、できることなら連立政権から離脱したくないというのが公明党の本音だろう。公明党にとって最善のシナリオは、安倍首相が集団的自衛権の行使容認をあきらめてくれることである。このため、漆原氏の発言も、それとなく安倍首相サイドに伝わることを期待して、あえてマスコミ関係者に話しているふしがある。要するに、安倍首相を脅しているのだ。
これに対して、安倍首相側近は8月25日、記者団に次のように語った。
「公明党は結局、最後はついてくるだろう。ただ、集団的自衛権はそんなに焦って処理しなくてもいい」
首相周辺は、公明党は連立離脱しないだろうと楽観視している。この発言もまた、公明党側に伝わることを想定して、牽制球を投げているのだろう。しかも、この発言が巧妙なのは、「焦って処理しなくてもいい」と付け加えている点だ。「離脱しないだろう」と軽くみられた公明党が腹を立てて短絡的な行動を起こさないように逃げ道を作ってやっている。つまり、公明党にとっては自民党側の態度は気に入らないものの、集団的自衛権問題の先送りによって、すぐに連立を離脱しなくてもいいという口実になる。
公明党はもともとリベラル色の強い政党であり、路線的には自民党よりも民主党に近いとまで言われてきた。このため、憲法改正や集団的自衛権などで保守色の強い安倍首相が就任して以来、自公両党の溝は広がっている。
だが、現在の連立与党の枠組みを維持することは、両党にとって共通の利益でもある。政権を壊さないようにしながらも、集団的自衛権に関する議論を自分たちに有利に進めるためにはどうするか。両党は互いの腹を探り合い始めた。今後、熾烈な駆け引きが展開されるだろうが、両氏の発言はその序曲である。
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