蹴球探訪
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(3月16日)
【首都スポ】慶大・小原大、天国の父に捧げる初勝利 初先発で5イニング2失点2016年4月11日 紙面から
◇東京六大学野球<第1週第2日> 慶大8−2法大慶大は8−2で法大に逆転で連勝。小原大樹投手(4年・花巻東)が5イニングを8安打2失点で、開幕直前に亡くなった父に初勝利をささげた。打線は沓掛祥和三塁手(4年・慶応)が2試合連続本塁打を放つなどし、2試合連続の2ケタ安打を放った。リーグ3連覇がかかる早大も、今秋ドラフト候補の石井一成遊撃手(4年・作新学院)が5打点を挙げるなどし8−0で東大に連勝。ともに勝ち点を挙げた。 格別の思いで手にしたウイニングボールだ。1年春から登板している慶大の小原大が16試合目にしてリーグ戦初勝利。「けがもありましたし、長かったです。きょうはそんなに良くなかったけれど、みんなのバックアップで勝てました」と、目頭を熱くした。 3月26日に地元・岩手の高校で体育を教えていた父・誠さんが57歳で亡くなった。駅伝を教えていた父は厳しかった。社会人時代に同じように父を亡くした大久保秀昭監督(46)から「優勝のウイニングボールを届けるぐらいに頑張れ」と激励されてのマウンド。天国の父に見守ってもらうのではなく、自分の力で切り開けという親心だった。 1年春の早慶戦でリリーフ登板。大きな期待をされながら1年秋に左肘を痛めて1年間は登板できなかった。昨春から復帰したものの救援が中心で、ようやく巡ってきた先発機会。1回1死から4連打をくらい先制を許したが、すぐに追いついてもらうと強い気持ちで立ち向かった。中学生のころ、一緒にランニングした父は妥協を許さなかった。「父は中途半端なことが一番嫌い。逃げずに立ち向かおうと思った」と、直球を軸に、6回に代打を送られるまで自己最長の5イニングを2失点で逆転を呼び込んだ。 花巻東では大谷(現日本ハム)と同期生。2年夏の甲子園では、大谷の控えに甘んじたが、岩手大会でフル回転して大舞台に導いたのは小原大。慶大で野球をやりたいと言ったとき、心配して反対する声もあったが、何も言わずに応援してくれたのが父だった。岩手からかけつけた母・祥子さん(43)は「(夫は)この試合には酸素ボンベを付けてでも来たいと言っていた。代わりに私が来ないといけないと思った」と、受け取ったウイニングボールを胸に抱きしめた。 エース加藤拓に次ぐ2戦目の先発を期待される遅咲き左腕は「絶対に活躍して、プロ野球選手になると父に伝えた」と力強く言い「大谷をいつか追い抜くぐらいの気持ちでやらないといけない」と誓った。リーグ戦を制して、優勝のウイニングボールを天国の父に届ける。 (小原栄二) ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中 PR情報
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