時代の正体〈288〉補助金問題が映す現在地
ヘイトスピーチ考
- 特報|神奈川新聞|
- 公開:2016/04/10 22:32 更新:2016/04/10 22:44
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川崎朝鮮初級学校の入学式には日本人ボランティアの「入学おめでとう応援隊」の姿も=3日
朝方の雨も上がった3日、川崎市川崎区桜本にある川崎朝鮮初級学校。幼稚班1人、初級部4人の新入生を迎えた祝いの席で、姜文錫(カンムンソク)校長の心は晴れなかった。
「われわれは一体、どこまでいじめられなければいけないのか」
5日前の3月29日に発表された文科省通知に納得がいかなかった。
通知はこの認識を前提にし、続く。
朝鮮学校と朝鮮総連と関係を「特性」と表現し、しかし、その何が問題なのか説明する記述はない。にもかかわらず、朝鮮学校への補助金のみをとりたてて問題視する姿勢には、論理の飛躍と矛盾があった。
馳文科相の説明も欺瞞(ぎまん)に満ちていた。異例の措置の目的や北朝鮮への制裁との関連を問う記者団に「交付の権限は自治体にある。留意点を示しただけで、減額や自粛、停止を指示する内容ではない」と繰り返すばかり。そうであるなら、なぜ通知を出すのかという疑問には最後まで答えなかった。
それどころか、やはり朝鮮総連の影響力を持ち出し、「公的資金なので適正、的確に執行し、住民にも情報公開してほしい」と、問題が既成の事実であるかのように語り、偏見を助長するものであるといえた。
「民族団体と民族学校が密接な関係にあるのは当たり前。民族教育が最重要項目の一つだからだ。民団が東京韓国学校と、華僑総会が中華学校と関わりが深いのと同じだ」
そう指摘するのは在日朝鮮人人権協会の金東鶴(キムトンハク)さん。通知の狙いを次のように受け止める。
「朝鮮学校をなくしたい人たちが、通知を拡大解釈させて自治体を萎縮させ、補助金を止めさせようとしている。兵糧攻め以外の何ものでもない」
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