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 子どもたちに歌い継がれている「アオギリのうた」を16年前に作詞作曲した森光七彩(ななせ)さん(23)=広島市中区=が4日、NHK広島放送局のキャスターとしてデビューした。森光さんは「放送を聞いている方々にふと平和だな、と感じてもらえるように頑張りたい」と意気込んでいる。

 森光さんは小学2年のとき、通っていた市立千田小(広島市中区)の「被爆アオギリ2世」について学んだ。その一環で、「お母さん」にあたる「被爆アオギリ」がある平和記念公園(同)に行った。歌は、その光景から始まる。

 ♪電車にゆられ 平和公園 やっと会えたね アオギリさん

 このアオギリは爆心地から約1・3キロの広島逓信局(現・日本郵政グループ広島ビル付近)の庭で被爆。熱線と爆風を受け、爆心地側の幹の半分が焼けたが、翌春に芽吹き、1973年に今の場所に移された。毎年つける種子は国内外に贈られ、各地で育つ。その一つが千田小の「被爆アオギリ2世」だ。

 ♪たくさん たくさん たね生んで 家ぞくがふえたんだね よかったね

 広島市が募集した「広島の歌」に応募し、2001年に915点からグランプリに選ばれた。音楽の教科書に載り、幼稚園や小中学校でも歌われた。語り部活動をしていた被爆者の故・沼田鈴子さんから「歌をありがとう」と言われ、「アオギリへのいとおしさが伝わってきた。大切に歌っていかないといけないと思った」と振り返る。

 ♪遠いむかしの できごとを わすれずに思う アオギリのうた

 受賞直後は週末ごと、現在も1~2カ月に1回のペースでイベントなどで歌っている。「小さいころは、被爆者から伝えられた思いを歌っていた。最近は、それを伝える立場に変わってきたように思う」と語る。

 ♪広島のねがいはただひとつ せかい中のみんなの明るい笑顔

 パーソナリティーを務めるNHKラジオ第1の新番組「ひろしまコイらじ」(月~木曜午後5時~同55分)のコンセプトは、「若い世代に、ラジオにコイしてもらいたい」。森光さんは「自分よりさらに若い世代にも平和のメッセージを発信していきたい」と話している。

 「アオギリのうた」は、平和記念公園の被爆アオギリ前にある記帳台のボタンを押すと流れるほか、広島市のホームページ(http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1112685049928/index.html別ウインドウで開きます)からも聞くことができる。(岡本玄)

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アオギリのうた 作詞作曲・森光七彩

電車にゆられ 平和公園

やっと会えたね アオギリさん

小学校の校庭の木のお母さん

たくさん たくさん たね生んで

家ぞくがふえたんだね よかったね

遠いむかしの きずあとを

直してくれる アオギリの風

遠いあの日の かなしいできごと

資料館で見た 平和の絵

いろんな国の 人々や

私がみんなが 考えてゆく広島を

勇気をあつめ ちかいます

あらそいのない国 平和の灯(ひ)

遠いむかしの できごとを

わすれずに思う アオギリのうた

これから生まれてゆく 広島を大切に

広島のねがいはただひとつ

せかい中のみんなの明るい笑顔