大内悟史
2016年4月10日19時26分
昨年8月末に新社長を迎えて経営再建に取り組んでいる大井川鉄道(本社・静岡県島田市)。新駅構想や増便といった明るい変化が見られつつある。再生の道のりは始まったばかりだが、沿線でも支援の動きが加速している。
新東名高速島田金谷インターチェンジ(IC)の南にある大鉄大井川本線の五和(ごか)駅(島田市竹下)。2014年度で1日当たりの平均乗降客数が75人しかいなかったが、駅周辺はいま、新駅構想の舞台になっている。
2月、島田市と中日本高速道路(名古屋市)、大井川農協(静岡県藤枝市)、大鉄の4者は、島田金谷ICと国道473号が交わる五和駅の北方約500メートルの約2・2ヘクタールに飲食・休憩施設などを建設する計画を発表。大鉄も蒸気機関車(SL)が発着できる新駅開設を検討していると明かした。
新駅の狙いは、SL列車目当ての観光需要の掘り起こしだ。SL列車の乗客が帰路に乗る普通電車の運賃や物販などを含めると、SL関連収入は大鉄の鉄道事業収入の約9割を占める。経営再建にはSLへのてこ入れは必須だ。高速のICに近い新駅ならば、首都圏や中京圏から観光バスで訪れるツアー客の乗り継ぎが便利になり、誘致に力を発揮する可能性がある。
順調に進めば、2年後の18年5月着工を見込む。大鉄の前田忍社長は、2月の記者会見で「共に夢を語り合いながら進めていきたい」と話した。
■沿線の信頼回復急ぐ
金谷―千頭間(39・5キロ)の大井川本線と千頭―井川間(25・5キロ)の井川線を運行する大鉄は、14年に経営不振が表面化。同年3月で有利子負債が35億円に膨らみ、大井川本線の普通電車を14往復から9往復に減らした。
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朝日新聞社会部
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