山口社長は9年前、創業者の前田氏と共に海外進出に向け、買収候補となる米国の技術系ベンチャー企業を探していたところ、デジタル・フォレンジック技術(犯罪捜査や法的紛争などで電子機器に残る記録を収集・分析する技術)を持つセレブライトを知った。そして、日本企業として初めてイスラエル企業を買収するという冒険の末、山口氏自身がCEOまで務めた。
セレブライトは現在、米国、ドイツ、英国、ブラジルなど世界100カ国の情報機関、軍、警察に「モバイルセキュリティー機器」を納入している。1台当たりの価格は100万円を超える。米国のFBIや中央情報局(CIA)など情報機関を供給先とするするセキュリティー機器の市場でセレブライトのシェアは55%を占める。
サン電子はもはやパチンコ企業ではない。売上高273億5000万円のうち、モバイルセキュリティー分野は半分の136億3000万円を占める。山口社長は最近1-2年間でイスラエル企業3社を追加買収した。モバイル決済企業のセロマットイスラエル、バーチャルリアリティー技術業者のインフィニティー・オーギュメント・リアリティー、機械間自動通信技術のバックソフトなどだ。最先端技術を持つ企業を選んで買収した。不動産など財テクには目も向けなかった。
■イスラエルのDNAを日本に植え付ける
山口社長は親会社のサン電子でもイスラエルの創意文化を取り入れようと心血を注いでいる。山口社長は日本特有の上下関係を打破するため、「大胆な会議」という名前の独特な会議を開くことにした。中堅幹部が出席し、それぞれ文書で意見を提出。独創的な意見を出した出席者にのみ発言権を与える会議だ。上司や周囲の意見に適当に合わせるのが美徳とされる日本式の企業文化を打破する狙いがあった。
西江大のチョン・オクヒョン教授は「未来に注目を浴びる新技術を予測し、リードする海外企業を買収するサン電子の戦略を韓国企業も参考にすべきだ」と指摘した。