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 今回は、松田聖子の「赤いスイートピー」。1982年2月のオリコン売り上げで1位、読者アンケートでもトップでした。彼女の曲の中で、最も女性に人気があると言われています。その秘密を作詞家の松本隆さん(66)に聞きました。

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 70年代を代表するアイドル山口百恵は80年に妻となって引退。入れ替わるようにこの年、松田聖子がデビューした。「聖子ちゃんカット」に「ぶりっこ」。最初に作詞依頼を受けた松本さんはこう考えたという。

 「現実の女の子は自由で生き生きしているのに、歌の世界に出てくる女性だけは男性に従属的で古くさい。そのほこりを全部払って、根底から新しい女性像を作りたい」

 自由な女性像を描くことで、10代の男性に人気のアイドルを、女性たちが共感する歌い手に作り替えられる、という戦略だった。

 初めて手がけた6枚目のシングル「白いパラソル」と続く「風立ちぬ」を「ホップ、ステップ」と表現する松本さんにとり、「ジャンプ」が次の「赤いスイートピー」。呉田軽穂(松任谷由実)のメロディーを得て、聖子を女性に共感される歌い手に変身させた。

 歌詞は、駅のベンチのような日常的な舞台で、口もきかず、微妙な気持ちを絡ませる男女が描かれる。

 「出会った直後の恋が始まる興奮でもなく、失恋した悲しさでもない。恋愛初期のあいまいで、いちばん歌になりにくい時期の気持ちの変化、その濃淡をバランスよく描けた。そこが新鮮だったのでは」

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