セブン&アイ鈴木会長が退任発表
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流通大手セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者は、7日記者会見し、経営の一線から退くことを明らかにしました。理由について、鈴木会長は子会社のコンビニ最大手、セブンーイレブン・ジャパンの社長人事を巡る経営内部の対立があったことを明らかにしました。
セブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長兼最高経営責任者は、7日に都内で記者会見し、「セブンーイレブンが最高益を続けているなか、逃げでなく、このときにこそ、みんなに考えてもらえたらというつもりで、今回、引退を決意した」と述べ、経営の一線から退くことを明らかにしました。
また、7日の取締役会で、鈴木会長が進めた子会社のコンビニ最大手、セブンーイレブン・ジャパンの社長を交代する人事案が、経営内部に対立が生じた結果、否決された責任も考慮したことを明らかにしました。鈴木会長は後継者を自分が決める考えはないとしています。会社によりますと、鈴木会長は来月下旬に予定されている株主総会までに「セブン&アイ・ホールディングス」や「セブンーイレブン・ジャパン」などの会長兼最高経営責任者を退任するということです。
鈴木会長は昭和38年に総合スーパーのイトーヨーカ堂に入社し、小規模な店舗で日用品を販売するコンビニエンスストアをアメリカから導入して、日本に定着させる主導的な役割を果たしました。昭和53年には、セブンーイレブン・ジャパンの社長に就任し、店舗での宅配便や公共料金の受け付けや、ATM=現金自動預け払い機を設置するなど、コンビニのサービス拡大を進めてきました。平成17年にグループの持ち株会社、セブン&アイ・ホールディングスの会長に就任し、そごうと西武百貨店を傘下に収めるなど、セブン&アイをコンビニとスーパー、それにデパートなどを持つ日本を代表する流通グループに育て上げました。
一方で、長年にわたって、グループを率いてきたことで鈴木会長の影響力が非常に大きくなり、グループ内の多様な意見が経営に反映されにくくなっていると指摘する声も内部から出ていました。
また、7日の取締役会で、鈴木会長が進めた子会社のコンビニ最大手、セブンーイレブン・ジャパンの社長を交代する人事案が、経営内部に対立が生じた結果、否決された責任も考慮したことを明らかにしました。鈴木会長は後継者を自分が決める考えはないとしています。会社によりますと、鈴木会長は来月下旬に予定されている株主総会までに「セブン&アイ・ホールディングス」や「セブンーイレブン・ジャパン」などの会長兼最高経営責任者を退任するということです。
鈴木会長は昭和38年に総合スーパーのイトーヨーカ堂に入社し、小規模な店舗で日用品を販売するコンビニエンスストアをアメリカから導入して、日本に定着させる主導的な役割を果たしました。昭和53年には、セブンーイレブン・ジャパンの社長に就任し、店舗での宅配便や公共料金の受け付けや、ATM=現金自動預け払い機を設置するなど、コンビニのサービス拡大を進めてきました。平成17年にグループの持ち株会社、セブン&アイ・ホールディングスの会長に就任し、そごうと西武百貨店を傘下に収めるなど、セブン&アイをコンビニとスーパー、それにデパートなどを持つ日本を代表する流通グループに育て上げました。
一方で、長年にわたって、グループを率いてきたことで鈴木会長の影響力が非常に大きくなり、グループ内の多様な意見が経営に反映されにくくなっていると指摘する声も内部から出ていました。
後継者「指名は考えてない」
鈴木敏文会長兼最高経営責任者は、記者会見で、今後の経営体制について「これからみんなに相談してもらうが、後任を指名することは考えていない」と述べ、みずからが後継者を決める考えはないという認識を示しました。
また、大株主であるアメリカの投資ファンドが、セブン&アイの取締役を務める鈴木会長の次男が後継者になるといううわさを耳にしていると指摘していることについて、鈴木会長は「なぜ、息子の話が出てくるのか。社内でそうした話が飛び交っていると聞いて、びっくり仰天。私はひと言も言っていないし、息子も考えたことがない」と否定しました。そのうえで、「まことしやかにそう言われることは私の不徳の致すところだ」と述べました。
また、大株主であるアメリカの投資ファンドが、セブン&アイの取締役を務める鈴木会長の次男が後継者になるといううわさを耳にしていると指摘していることについて、鈴木会長は「なぜ、息子の話が出てくるのか。社内でそうした話が飛び交っていると聞いて、びっくり仰天。私はひと言も言っていないし、息子も考えたことがない」と否定しました。そのうえで、「まことしやかにそう言われることは私の不徳の致すところだ」と述べました。
創業家との対立も
セブン-イレブン・ジャパンの社長を交代する人事案については、経営内部だけではなく創業家との対立もあったことが明らかになりました。
鈴木会長らの会見によりますと、退任を求められたセブン-イレブン・ジャパンの社長は、いったんは了承したものの、その後、「受け入れられない」と態度を変えたということです。
このため、社長の父親にまで接触して説得にあたりましたが、退任を拒む姿勢は変わらなかったということです。また、創業家も人事案を承諾しませんでした。
セブン&アイの源流にあたる総合スーパー、イトーヨーカ堂を創業したセブン&アイの伊藤雅俊名誉会長は、創業家として、セブン&アイの株式のおよそ10%を保有する大株主ですが、経営の一線からは退いています。ただ、会見によりますと、今回の人事案については「了承を断られわだかまりが残るようなことばをかけられた」ということです。
結局、7日の取締役会では人事案について賛成が7、反対が6、棄権が2でした。反対の姿勢を示していた社外取締役に加えて、社内の取締役からも反対が出たため、賛成が過半数の8には足らず否決されました。
鈴木会長らの会見によりますと、退任を求められたセブン-イレブン・ジャパンの社長は、いったんは了承したものの、その後、「受け入れられない」と態度を変えたということです。
このため、社長の父親にまで接触して説得にあたりましたが、退任を拒む姿勢は変わらなかったということです。また、創業家も人事案を承諾しませんでした。
セブン&アイの源流にあたる総合スーパー、イトーヨーカ堂を創業したセブン&アイの伊藤雅俊名誉会長は、創業家として、セブン&アイの株式のおよそ10%を保有する大株主ですが、経営の一線からは退いています。ただ、会見によりますと、今回の人事案については「了承を断られわだかまりが残るようなことばをかけられた」ということです。
結局、7日の取締役会では人事案について賛成が7、反対が6、棄権が2でした。反対の姿勢を示していた社外取締役に加えて、社内の取締役からも反対が出たため、賛成が過半数の8には足らず否決されました。
物言う株主「社長を退任させるべきではない」
セブン&アイ・ホールディングスの大株主であるアメリカの投資ファンド、サード・ポイントは、企業の株式を取得して経営改革を迫るいわゆる「物言う株主」として知られています。
セブン&アイに対しては、厳しい業績が続く傘下の総合スーパー、イトーヨーカ堂をグループから切り離すべきだと提言しているほか、先月には、セブン&アイの人事の在り方について意見をまとめた書簡を会社側に送っています。
書簡では、グループの中核のコンビニ事業を担うセブンーイレブン・ジャパンの井阪隆一社長について、「経営から外し、職を解くうわさを耳にし、大きな懸念を持っている。会社の成功に著しい貢献をしており、高く評価されるべき」として、井阪社長を退任させるべきではないという考えを示していました。
さらに書簡では、セブン&アイの将来的な人事についての懸念も示していました。井阪社長が退任し、暫定的な社長が就任すれば、セブン&アイの経営トップである鈴木敏文会長の次男で取締役執行役員を務める鈴木康弘氏が、「セブン-イレブンの社長や、セブン&アイのトップに就く道筋を開くといううわさを耳にしている」と指摘していました。そのうえで、「このうわさが真実だとすれば、鈴木会長のトップとしての判断力に重大な疑問が生じる。後継者の選考に透明性が欠ける、あるいは血縁要素が介入しているのであれば、株主への利益に反する」としていました。
こうした指摘についてセブン&アイは、「世襲は全くありえず、心外だ」と反論しています。
セブン&アイに対しては、厳しい業績が続く傘下の総合スーパー、イトーヨーカ堂をグループから切り離すべきだと提言しているほか、先月には、セブン&アイの人事の在り方について意見をまとめた書簡を会社側に送っています。
書簡では、グループの中核のコンビニ事業を担うセブンーイレブン・ジャパンの井阪隆一社長について、「経営から外し、職を解くうわさを耳にし、大きな懸念を持っている。会社の成功に著しい貢献をしており、高く評価されるべき」として、井阪社長を退任させるべきではないという考えを示していました。
さらに書簡では、セブン&アイの将来的な人事についての懸念も示していました。井阪社長が退任し、暫定的な社長が就任すれば、セブン&アイの経営トップである鈴木敏文会長の次男で取締役執行役員を務める鈴木康弘氏が、「セブン-イレブンの社長や、セブン&アイのトップに就く道筋を開くといううわさを耳にしている」と指摘していました。そのうえで、「このうわさが真実だとすれば、鈴木会長のトップとしての判断力に重大な疑問が生じる。後継者の選考に透明性が欠ける、あるいは血縁要素が介入しているのであれば、株主への利益に反する」としていました。
こうした指摘についてセブン&アイは、「世襲は全くありえず、心外だ」と反論しています。
社長交代の提案に至るまで
セブン-イレブン・ジャパンの社長を交代する今回の人事案は、7日の取締役会に先立って、セブン&アイ・ホールディングスの指名・報酬委員会で議論が交わされてきました。この委員会は、グループ全体を統括する持ち株会社、セブン&アイの役員などの候補者のほか、セブンーイレブン・ジャパンなど、主な子会社6社の代表取締役の候補者の選任案について妥当性を審議し、セブン&アイの取締役会に意見を示す役割を担っています。
委員会で議決権を持つメンバーは4人で、社内からは鈴木敏文会長と村田紀敏社長の2人、社外取締役からは一橋大学大学院商学研究科特任教授の伊藤邦雄氏と、元警視総監の米村敏朗氏の2人と、社内と社外、半数ずつで構成されています。関係者によりますと、セブン-イレブン・ジャパンの社長を交代する人事案には、社外取締役の2人が反対し、意見が割れたまま、7日の取締役会に諮られたということです。
委員会で議決権を持つメンバーは4人で、社内からは鈴木敏文会長と村田紀敏社長の2人、社外取締役からは一橋大学大学院商学研究科特任教授の伊藤邦雄氏と、元警視総監の米村敏朗氏の2人と、社内と社外、半数ずつで構成されています。関係者によりますと、セブン-イレブン・ジャパンの社長を交代する人事案には、社外取締役の2人が反対し、意見が割れたまま、7日の取締役会に諮られたということです。