11月のアメリカ大統領選に向けた共和党の候補者指名争いで、予想外の進撃を続けるドナルド・トランプ。
なぜ、そこまで過激な男が支持され、米国民のハートを煽動(せんどう)するのか? というわけで、彼が発してきた数々の“暴言”を検証し、ついでに英会話の教材として学んでみようではないか。
今回、講師として招聘(しょうへい)するのはハーバード大学卒業後、日本で英会話講師として働いていたこともある、お笑いコンビ「パックンマックン」の「パックン」だ。
●未来形を多用し、力強く言い切る
では早速、パックンにトランプ暴言を解説してもらおう。
「トランプが使っている英語はとっても単純。長い言葉は使わないし、気取ってなくて親しみやすい。でも、まるで知性が感じられない話し方なんだよな…。『オレは頭がいいんだ』と言っているニューヨークの中学生みたいだし、間違いなく下品で下衆(げす)」
いきなりトランプ批判を繰り広げるパックン。どうして、そんな発言しかしないのにトランプは人気なのだろうか?
「政策内容はおいといて、物事をはっきりと断言するから、支持者が増えているのかも。『(不法移民を締め出すために)メキシコとの国境に万里の長城を築く』とか『イスラム教徒の入国を拒否する』という発言はその典型だよね。『オレが大統領になったらISをあっという間に潰(つぶ)せる』みたいな発言を聞いて“リーダーシップ”を感じちゃう人たちがいるんだと思う。
ただ、具体的なことは一切言わないね。どうやってISを壊滅させるんだと聞かれても、『それを言ったら(相手にバレるから)ダメでしょう』ってごまかすわけ! 批判をそらすのもうまいんだよね」
具体性はないけど、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いが聴衆を惹(ひ)きつけているということなのかも。では、そんなトランプの“英語”にはどんな特徴が?
「彼はとにかく未来形を多用する。『We should win( たぶん勝てるだろう)』とか『We can win(勝つことができるだろう)』でなく『We will win(絶対勝つ)』と言い切る。『will』には強い意志というニュアンスがあるし、未来形だからビジョンがあるように聞こえるんだ。
オバマ大統領は『can』を使って『みんながひとつになったら、こういうことが“できる” 』と言っていたけど、トランプはなんの条件もつけずに、『私が大統領になったら、こう“する” 』と力強く断言する。
それから彼は、『win』『great』のような自分にも聴衆にも気持ちのいい単語をよく使う。『オレも賢いけど、ここに集まっている君たちもみんな賢いよ』と、いい気分にさせて一体感をつくり出す」