2016年4月10日13時47分
主要7カ国(G7)外相会合が10日に始まった被爆地・広島では、到着が遅れているドイツを除く各国外相が主会場のグランドプリンスホテル広島(広島市南区)に集まった。一方、テロに対する警察当局の厳しい警戒態勢が敷かれ、被爆地は物々しいムードに包まれている。
フランスの外相や欧州連合(EU)の外交安全保障上級代表は10日午前に空路で広島入り。広島空港では数台の警察車両が構内に待機し、警察官が通路を一部規制した。
三方を海に囲まれた宇品(うじな)島にあるグランドプリンスホテル広島。ホテルにつながる道路では大阪や大分などから応援で派遣された警察官も加わり、通行人や車の運転手に通行証の提示を求めていた。ホテルの近くで暮らす漁師の井原宝さん(65)は「8月6日の『広島原爆の日』と比べても、格段に警備の人数が多い」と話し、会合が無事に終わることを求めた。
広島市中心部に近いJR広島駅。警戒する警察官に加え、駅員や清掃にあたる人たちも「警戒」と書いた腕章を身につけて勤務している。危険物が入れられないように駅構内のコインロッカーの利用は一時中止され、ごみ箱にはふたがされていた。
原爆の犠牲者を悼み、核廃絶と恒久平和を願う平和記念公園。警察官が巡回するなか、この日も原爆ドームや広島平和記念資料館は多くの観光客や見学者が訪れた。原爆ドームの前で外国人旅行者に英語で原爆の被害を伝えている胎内被爆者の三登(みと)浩成さん(70)=広島県府中町=もいつも通り、原爆ドーム前にいた。
この日は各国外相夫人、11日はG7の核保有国(米英仏)の現職外相が初めて公園に足を運ぶ。三登さんは「アメリカのケリー国務長官が帰国後、米国民の原爆に対する考え方を変えてくれるかどうか。そこに注視したい」と話した。
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!