彭佳嶼=鵜飼啓
2016年4月10日07時46分
台湾の馬英九(マーインチウ)総統は9日、台湾最北端の島、彭佳嶼を視察し、尖閣諸島の領有権を改めて主張する一方で、東シナ海の平和を訴えた。視察は尖閣周辺での台湾漁船の操業を認めた日台漁業協定の締結3周年記念との位置づけだが、5月に退任を控えた馬氏の功績アピールが狙いとみられる。
彭佳嶼は尖閣諸島から約140キロ西にある広さ約1・1平方キロの島。海岸巡防署(海上保安庁に相当)などの約20人が駐留し、台湾の有人島では尖閣に最も近い。馬氏は視察で、日台漁業協定を「40年来の漁業紛争を解決した」と評価しつつ、尖閣については「台湾漁民の伝統的な漁場だった」などとして「当然我々のものだ」と強調。退任後も関心を払い続けるとした。
馬氏は、東シナ海や南シナ海で主権争いを棚上げして資源を共同開発しようという「平和イニシアチブ」を提唱しており、「東シナ海や南シナ海など(台湾)周辺の海域の平和を希望する」とも訴えた。この日は島に設置した記念碑の除幕も行った。
馬氏はこのところ、周辺海域での台湾の領有権をめぐる主張を強めており、1月には南シナ海で台湾が実効支配する太平島を訪問。今月8日には自らが出席して外交部(外務省)で南シナ海をめぐる講習会を開き、台湾の立場の対外発信の強化を求めた。(彭佳嶼=鵜飼啓)
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朝日新聞国際報道部
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