2016年4月10日07時49分
埼玉県朝霞市から連れ去られた少女(15)が2年後に保護された事件で、未成年者誘拐容疑で逮捕された男が「朝霞市周辺で複数の中学校を下見し、別の女の子も尾行した」と供述していることが、捜査関係者への取材でわかった。容疑者の供述や被害に遭った少女の話からは、事件の特異性が浮かび上がる。
逮捕されたのは東京都中野区の寺内樺風(かぶ)容疑者(23)。県警などによると、千葉市のアパートは玄関ドアと窓は内側から開けられず、少女の部屋の電灯は使えなかった。数回の外出時は手をつかまれ、与えられたパソコンは限られた動画サイトしか見られなかった。少女は本名ではなく、別名で呼ばれていたという。
寺内容疑者が大学の授業や帰省で外出している間、少女は1人で部屋にいたことになる。周辺は人や車の往来がある場所だ。犯罪者の行動心理に詳しい立正大学の小宮信夫教授(犯罪学)は、寺内容疑者が少女を別名で呼んでいた点に着目。「事件の発覚防止だけでなく、新たな人生を踏み出したのだ、と暗示をかけるためだった可能性がある」とみる。少女は容疑者から「私は捨てられた」と紙に書かされ、「おまえは売られた」と言われた、と説明している。ある捜査関係者は「洗脳状態だったのでは」と話す。
捜査関係者の説明では、寺内容疑者は「ネットで調べ、田舎過ぎず、都会過ぎず(誘拐するには)良い場所を選んだ」と供述。被害に遭った少女以外にも尾行したと話しているという。
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朝日新聞社会部
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