指導者に「被爆地訪問を」 広島宣言に文言
広島市で10日から開幕
広島市で10日から始まる主要7カ国(G7)外相会合で、核軍縮に向けて発表される独立文書「広島宣言」の概要が分かった。世界の指導者が被爆地を訪問するよう促す文言を盛り込み、核保有国が保有する核兵器情報の透明化を求める。停滞する核軍縮の機運を高める狙いがある。日本政府としては、直接関連づけないものの、オバマ米大統領の広島訪問の呼び水としたい考えだ。【田所柳子、小田中大】
宣言は、議長を務める岸田文雄外相が「核兵器のない世界に向け、国際社会の機運を盛り上げたい」として意欲を示してきた。広島、長崎の訪問を世界の政治指導者に促すほか、核保有国が数値情報を含め保有核兵器を報告するよう求める。核軍縮の枠組みについては「単独あるいは2国間、地域的や多国間」などの表現を検討。核保有国は非核国が多数派となりがちな多国間協議に消極的といい、柔軟性を持たせる。核兵器の非人道性では、核兵器使用による悲惨さを想起させる表現を盛り込む方向だ。
外相会合は5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)をピークとする一連の閣僚会合の皮切りで、11日まで。核軍縮のほか、欧州で頻発するテロや難民対策が主要議題。中国による南シナ海の軍事拠点化を念頭に、「法の支配」確立に向けた海洋安全保障に関する文書もまとめる。
関連行事として、ケリー米国務長官らが10日に世界遺産の厳島神社を訪れ、11日に平和記念公園での献花や原爆資料館見学を行う。核を持つ米英仏外相の同公園訪問は初めて。
各種文書は11日に発表される予定。岸田外相は8日の記者会見で、広島開催の意義について「自分の目や心で見て感じてもらい、被爆の実相に触れることが重要だ」と述べた。