東京五輪期間中の神宮球場使用中止に怒りの嵐!
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が、メインスタジアムの新国立競技場に隣接する神宮球場の使用中止を同年5~11月まで求めていたことが明らかとなった中、東京六大学野球の春季リーグ戦が9日、開幕した。初日から盛り上がりを見せ、駆け付けた観客からは「使用中止なら五輪開催もやめた方がいい」などの反対意見が続出。また、同球場を本拠地とするヤクルトファンも中止撤回へ声を上げた。
大学野球の“球春開幕”となる直前に降ってわいた20年の使用中止問題。神宮球場に集まったファンから聞こえてきたのは、怒りや反対の声ばかりだった。
組織委は20年について、地権者である明治神宮に対し「5~11月まで機材置き場や観客らの待機場所として球場を使わせてほしい」と提案。例年、この期間に行われる試合は、プロアマ合わせて300試合以上。六大学野球は、春・秋季リーグとも開催できなくなる。
息子が東大野球部のOBで、自身も東大出身という大田区の男性(58)は「五輪が国を挙げてのイベントとはいえ、学生たちの夢を無視している。五輪開催期間に協力するのは理解できるが、(使用中止期間は)最低限にできないのか」。六大学の中で唯一優勝経験がない東大はこの日、早稲田にサヨナラ負けこそしたものの、好ゲームを展開。「東大の選手たちが野球を楽しんでいるのを感じた。その場を奪わないでほしい」と声を大にした。
「選手はもちろん、我々観客も『神宮だから、六大学だから』と球場に足を運ぶ。ファンの声を無視するくらいだったら、五輪をやめてしまえばいい」と怒りが収まらないのは、30年以上の六大学野球ファンというさいたま市に住む早稲田OBの男性(57)だ。
神宮球場は1926年に完成したが、その際には東京六大学野球連盟が協力。31年の拡張工事は、連盟が費用を負担した。第2次大戦中はリーグ戦が中止され、戦後しばらく別の球場で試合が行われたこともあったものの、51年秋季から全試合を神宮で実施して以降、半世紀以上にわたって中止は一度もなし。いわば「神宮の歴史=六大学野球の歴史」とみている。
男性は「五輪開催決定後、すぐに(計画を)発表していれば、まだ納得がいったし、そこから調整する余地もあったと思う。なぜ、今になっていきなり(の中止)なのか。本当にスポーツを愛しているのか、疑問ですね」と首をひねった。
もちろん、使用中止への反対は、ヤクルトファンも同じだ。騒動勃発後、初の週末開催の公式戦となったDeNA戦(横浜スタジアム)に足を運んだ熱心なファンからも、不満の声が上がった。
目黒区の男性(39)は、問題が表面化した際に遠藤利明五輪相(67)が「なぜ大事になるのか分からない」と発言したことに「ふざけんな、ですよ。あんまりです」と激怒。「ヤクルトだけの問題じゃないですからね。大学野球の選手にとっては聖地ですから。機材置き場というのがまた…神宮外苑には他にもいくらでも置き場にするスペースはあると思いますけど」と、使用法にも苦言を呈した。
一方、年間35試合は神宮球場で観戦するという西東京市の47歳の夫婦は「高校野球を甲子園で開催時の阪神みたいに、遠征して主催試合をするのは一つの手段だと思う」(夫)、「東京ドームを借りてやるしかないのでは。ホームランが出やすくなるとファンとしては面白いかな、と」(妻)。疑問を感じながらも、前向きに考えている声もあった。