バスタ新宿は、やっぱり国道20号だった。
2016年4月4日バスタ新宿がオープンした。
施設内は用途ごとに階層を分けた。4階は高速バスの乗降場や待合施設、3階はタクシー乗降場、2階は駅の改札や歩行者広場とした。2階で国道20号と接する。
日経コンストラクション 渋谷 和久
日本一の「バスタ新宿」線路上空に開業
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/knpnews/14/660651/040300012/
いやいや、バスタ新宿は国道20号そのもの。「2階で国道20号と接する」なんて書いてはあきまへん。日経BP社の出版物でも「日経トレンディ」ならともかく、これは「日経コンストラクション」で土木の専門誌のはず。施主の国交省の担当官も読むのだから、読者に刺さる記事を書かなきゃ。(すまん。「刺さる記事」って書いてみたかっただけ。)
日経コンストラクションの編集者も、そういう土木の世界が分かるライターさんに発注しなきゃダメでしょ。渋谷和久くんは、紙ベースの締め切りまでに再勉強で書き直しだな。
ということで、バスタ新宿オープン当日の官報を見ると、やっぱり国道じゃないか(歓喜)。
「立体的区域の区間」というところがミソで、通常の道路区域と異なり、線路や5階以上のルミネには道路法の「道路内の私権制限」や建築基準法の「道路内の建築制限」が緩和されているのだ。そういうところを書いてこそ専門誌のライターだよ渋谷くん。
https://www.hido.or.jp/study/files/pdf/application_02.pdfから引用。
前回の記事ではこのような管理区分を紹介したが、実際に現地ではどのようになっているかというと
<管理者>
2階:JR東日本新宿駅と国土交通省東京国道事務所
3階:国土交通省東京国道事務所
4階:新宿高速バスターミナル(株)
となっている。4階も道路のはずなのに、何故バスターミナル(株)が管理者なのか?
上記の記事では「4階バスターミナルは(中略)4階全体を道路との兼用工作物とし(略)管理をバス協会に委ねることも検討」とある。
実際にはバス協会ではなく、新宿高速バスターミナル(株)が、「道路とバスターミナルの兼用工作物である4階」の管理を国交省から委ねられたということなのだろう。
ちなみに「兼用工作物」とは、道路法第20条に定められている。例えば、「川の堤防の上を走る道路が河川と道路の兼用工作物になっている」というような具合だ。詳細はhttp://www.hido.or.jp/14gyousei_backnumber/2011data/1203/1203houreiQ&A.pdfでお勉強だ。
2階は、上階に上がるエスカレーターやエレベーターが「国道」となるのだろう。
東京国道事務所が管理する国道です。
東京国道事務所が管理する国道です。
大林組ウェブサイト「新宿駅南口の「まち」が見えてきた 新宿駅南口地区基盤整備事業、新宿駅新南口ビル(仮称)新築工事」http://www.obayashi.co.jp/projects/project31から引用。
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能書きは大概にして、敷地内からバスタ新宿が道路法の道路そのものであることの証拠を探していこう。
早速3階に(私のような道路マニヤには)見慣れた黄色い車が!!
国土交通省道路パトロールカー!!!
そして場内の行き先表示が青看板!!!!
規制標識の裏面には
「設置者:東京都公安委員会」「管理者:原宿警察署長」!!!!!
横断歩道もあるぞ!!!!!!
やっぱり道路じゃないか(歓喜)。
青看板は、甲州街道からバスタ新宿への進入路のドン突きにも見ることができる。
ところでこれを見てくれ。こいつをどう思う?
バスタ新宿の3階、4階案内図なのだが、そこを自動車で一般ユーザーが走るわけでもないのに、この区画線の異常なまでの書き込みは、これもやはりバスタが道路だからなのだろうか??
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私があんまりにも、「バスタは道路だ」「バスタは国道だ」と言ったせいなのか、「バスタ新宿は道路だから売店一つ無い」というツイートが散見された。
いやいや、例えば名阪国道のサービスエリアの売店や食堂だって道路区域内に合法的に建築され営業している(道路法第32条の占用物件に該当。)。おまけに4階は兼用工作物だからバスターミナルに必要なものは大抵のものは法律上は可能だと思う。個人的には狭くてバス運行上必要最小限のものしか置けなかったんじゃないかと思う。
上記の4階案内図をよく見ると「売店」と書いてある。
ところが残念ながら現地には何もないのであった。。。。(何故なんですかね。。)
ちなみに「道路だからベンチが置けない」というツイートも見かけたが、じゃあ一般道のバス停にあるベンチは何ですか?と。。
なお、「道路上に売店やレストランは建てられるのか?」に関連すると、菊竹清訓氏の東名高速道路・海老名SA「オーバーブリッヂレストハウス」の検証(http://www.jsce.or.jp/committee/hsce/forum/pdf/forum47.pdfの23~24頁参照のこと。)から「自動車と建築」堀田 典裕・著の検証等やることが山ほどあるのだ。
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まあ理屈ばかりもナニなので、高速バスが出入する動画でも見てほしい。
前半は4階の乗車ホーム 後半は3階の降車ホームを経て甲州街道に出るランプウェイへ入るところである。
高速道路好きには「東名方面」「中央道方面」「関越道方面」「東北道・常磐道方面」「東関東道・アクアライン方面」と「なにその5方面作戦」と歓喜する御褒美状態である。さっきから歓喜ばかりしとるな。
待合室や切符売り場と隣接するB線だけバス乗り場との間にドアがある。
A線、C線、D線は吹きさらしだ。
D線
3階から4階にバスが上がってくるところ
4階の片隅で複雑なバスの出入を仕切る管制室??
4階から3階に降りて来た出発の小田急バスと3階で降車して回送のリムジンバス
3階にはタブレットがずらりと並ぶ観光案内所が。
オープン初日なので取材のカメラが入っていました。
国道20号バスタ新宿から国道20号甲州街道へ出場するJRバス
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京王新宿高速バスターミナルでは、前日まで「思い出パネル展」が開催されていた。
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コメント
ミライナタワーの商業側とバスタ部分との間に「道路敷界鋲」のような標識でも埋め込んでいるのか気になる。
高速道路のSAPAだと機構資産の駐車場トイレと会社資産の売店棟との間に境界票みたいなのが埋め込まれているところもあるけど…。
投稿: | 2016年4月 8日 (金) 01時16分