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失業中のコピーライターが語る、クリエイティブに「ブレインストーミング」がいらない理由
失業中のコピーライター、マーク・ダフィ氏によるコラム連載。今回のテーマは「クリエイティブにブレインストーミングがいらない理由」。以下、最新のデジタルマーケティング情報をいち早く伝えるDIGIDAY[日本版]のこちらの記事より転載します。
このコラムの著者、マーク・ダフィ(54)は、広告業界辛口ブログ「コピーランター(コピーをわめき散らす人)」の運営人。米大手Webメディア「BuzzFeed」で広告批評コラムを担当していたが、2013年に解雇を通達された、業界通コピーライター。
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デジタルエージェンシーや「テック」アドエージェンシーが一般的になったことで、コピーライターとアートディレクターのチームが、従来型の代理店からさえも姿を消しつつある。あらゆる素晴らしい広告キャンペーンを、この65年間に渡って精力的に生み出してきた、彼らのクリエイティブな仕事は、ますます蹂躙されつつあるのだ。
無難なものしか生み出せない
こいつは業界において最悪の出来事だろう。その状況のひどさは「ブレインストーム」という言葉にも表れている。そもそも、「ストーム」(嵐)とは何かを作り出すものなのか? むしろ、痛めつけ、破壊し、トドメを刺すものではないのか?
まあ、「戦略」や「プラットフォーム」や「ランチ」についてブレインストーミングをやりたいのならば、やればいい。でも、クリエイティブについてのブレインストーミングだって? そんなものが許されるのは、プレゼン前夜の午後6時以降で、クリエイティブのチームが役立たずだった場合に限られるはずだ。この場合よい作品は生まれないだろうが、期待通りの無難なもの、クライアントを一時的につなぎとめることができるくらいのものはできるだろう。
これから紹介するのは、最近「アイディエーション」(俺の言葉じゃない)部屋で、クリエイティブに関するブレストセッション中に繰り広げられる一幕で、端折ってはいるが正確なものだ。僕は従来型のエージェンシーとデジタルエージェンシー、両方のそうした部屋で、人気のある大きなソーシャルメディアサイトの「クリエイティブ」部門と同席したことがある。
世にもお粗末な「ブレスト」の事例
時刻は正午。その「クリエイティブ」たちが、コピーライターとアートディレクターのコンビのところに、やってくる。デジタルクリエイティブディレクター(デジタルCD)、うっとうしい戦略担当バイスプレジデント、そしてクライアント側に立つアカウントスーパーバイザー。そして、うれしいことに、英国人の新しいコンテンツ担当バイスプレジデントがドアから顔を出して、「私の席も頼む」と言っている。
クリエイティブ側は動画のざっくりとした構想を3つ提示する。1つは群を抜いて素晴らしく、2つはこれといった取り柄がない無難なものだ。
戦略担当とスーパーバイザーはさっそく、良い方をつぶしにかかる。
スーパーバイザー:これは気に入ってもらえないだろうし、うちが嫌われるよ。頭がおかしいんじゃないか?
戦略担当:戦略から外れてるぞ、あんた。私がブリーフに載せておいた、絶対に必要なコピーポイントの残り4つはどこだ?[45秒の動画なんだぞ、無能な大間抜けが]
コンテンツ担当:最後の2つで言わんとしていることは気に入った。この2つをハフポ向けの素晴らしいスポンサー付きインライン動画広告にできないかな? 有名人のナレーションをつけたほうがいいかもしれない。デーモンだったかドナルドだったか、サザーランドを。
デジタルCD(政治的に狡猾な人物で、イエスマン):まったくその通り。
クリエイティブ:(あぜんとした顔で)1つ目のアイデアは明らかにライバルに差をつけ、素晴らしい点を売り込める思う。喜ばれるはずだ。プレゼンするのは、こっちですよ!
戦略担当:そして、我々は君が間違っていると考えている。そこでだ。残りの2本を1本にまとめて、コピーポイントをすべて満たすこと。加えて、スポンサー付きバージョンを作る。デーモンの料金を確認してくれ。今日中に修正できるな?
「ブレスト」って、一体何だ?
誤解のないように言うと、この投稿はあくまで広告のクリエイティブのブレインストーミングに関するものだ。しかし実際には、ほとんどの業界のほとんどの会社に当てはまる。ひとつ例外があるかもしれない。月着陸ミッションに失敗し、損傷した宇宙船を地球に安全に帰還させようとするNASAの技術者たちだ。
しかし、それ以外のブレインストーミングは、よいアイデアを目にしても、それとわからない人たちのためにある。くだらない無難なアイデアがくだらないことを理解しない人たちのためにある。自分の声の響きが気に入っている人たちのためにある。修正する人たちのためであり、クリエイターのためではない。才能あるクリエイターによるクリエイティブを、抹殺するかあるいは徹底的に改変することにサディスティックな喜びを覚える、創造性のない人たちのためのものなのだ。
ブレインストーミングは、魔法をボロボロにする。
どうかやめてくれ。クリエイティブは、実績のある専門家たちに任せてほしい。
【 マーク・ダフィ氏の連載<記事一覧>はこちら】
クリエイティブの「ブレインストーミング」なんてやめちまえ:失業中コピーライター(54歳)の告白|DIGIDAY[日本版]
Mark Duffy (原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by Shutterstock.
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