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「記憶の糸途切れないように」靖国偕行文庫

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「記憶の糸途切れないように」靖国偕行文庫

シベリア抑留に関する資料を説明する靖国偕行文庫の葛原和三室長=東京都千代田区(道丸摩耶撮影) シベリア抑留に関する資料を説明する靖国偕行文庫の葛原和三室長=東京都千代田区(道丸摩耶撮影)

 厚生労働省が昨年公表した1万723人の抑留死亡者のうち、自治体の調査などで遺族の所在が判明したのは740人にとどまる。戦後71年を迎え、戦没者の遺族を探す作業は年々、難しくなる一方、わずかな手掛かりを頼りに肉親の情報を探す遺族もいる。

 東京都千代田区の靖国神社にある図書館「靖国偕行(かいこう)文庫」は軍事関連の記録や戦史など約13万点を所蔵する。戦後70年の平成27年には過去最多の約7千人が来館。戦没者ら約250人の遺族の調査を補助した。

 今月上旬、同文庫を訪れた東京都中野区の関口武さん(73)は今春、墓参りの際に戦死した伯父の墓石に死亡場所などが掘られていることに気づいた。墓石には中国で肺炎になり、戦病死したと記されていたが、そこに至った経緯などは不明。両親は死去し、調べる術は限られている。「戦争で亡くした肉親について知りたいという思いが最近、大きくなってきた」という。

 同文庫の葛原和三室長(65)は、関口さんに本籍地の県庁で兵籍簿を取ることを勧めた。兵籍簿とは軍隊の人事記録で、所属や階級などが書かれている。所属部隊が分かれば、文庫が所蔵する部隊史などの資料から同じ部隊の資料を探せるという。

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