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【G7広島外相会合】
「NPT挫折後、軍縮をめぐる初の政治的発信」 拓殖大学海外事情研究所・佐藤丙午副所長(安全保障論)
核兵器の近代化(小型化と精密誘導能力の向上)も見逃せない。米国は2015年にネバダ州で改良型核弾頭の「B61 Model 12」の実験を行っている。このように、巡航ミサイルなどに搭載可能な核弾頭の開発が進むが、国際社会には戦術核の制限を目的とした条約は基本的にない。このため、軍事的に戦術核の重要性が増す中、核兵器保有国に単純に弾頭数の削減を求めることに、安全保障面で十分な理由は見いだせない。
それでも、広島での先進7カ国外相会合では、核保有国の外相が原爆死没者慰霊碑に献花すると報道されている。NPT決裂後、初めて核保有国が「惨禍を繰り返してはならない」と政治的メッセージを発信する意義は、軍縮や軍備管理の機運をつなぎ止めるうえで決して小さくはない。(談)