賢者の知恵
2016年04月10日(日) 週刊現代

阿部寛も入浴! 日本の名銭湯を巡ってみました~都心のド真ん中にもこんな「名湯」が

ルポライター坂上遼「百聞一見探訪記」

週刊現代
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〔PHOTO〕gettyimages

かの江戸時代の作家、式亭三馬が『浮世風呂』を上梓したのは今から約200年前。古くから日本人が愛してやまない銭湯が今、消滅の危機にある。探訪記者はその魅力を再発見すべく、全国を駆ける。

坂上遼(ルポライター)

都心のド真ん中にもあります

日本人の風呂好きは今に始まったことではないが、花の東京のド真ん中、千代田区大手町にも一昨年温泉が湧き出し、高層ビルの地下に「大手町温泉」として、今年5月に開業する予定だ。

その一方で、昔ながらの「銭湯」は少しずつ消え去っている。廃業する銭湯が多い中、全国のファンもまだ知らないホットなニュースが、いまどき珍しい銭湯の復活だ。

東京の西部、武蔵村山市の村山団地の商店街や住宅地が混在する一角にある「砂川湯」が、この4月1日から営業を再開する。

昨年3月に廃業し、今年6月には取り壊される予定だった銭湯だが、この話を聞きつけた高橋實さんと一枝さんの夫妻が、前の経営者の協力も得て、復活させることにした。高橋さん夫妻は、「銭湯経営一筋50年」の大ベテランで、これまでも東京・江東区や川崎市で銭湯をやってきた。1月でいったんは銭湯の経営をやめていたが、砂川湯の存在を知り、全くの新天地に思い切って移ってきた。

「ずっと銭湯でやって来ましたので、この仕事に愛着があるんです」と一枝さん。「砂川湯」の名はそのまま引き継ぐという。

銭湯復活のおめでたい話の続きは、これまためでたい、今年で創業100年を迎える「塩湯」。都心のド真ん中、四ツ谷駅に近い三井ガーデンホテルの裏手にある。

「塩湯の由来は、江戸時代に塩の集積場があったり、薬湯に塩を使っていたりしたことからこの名前がつけられたそうです」と女将の廣瀬節子さん。

紺地に白く「湯」と染め抜かれた暖簾をくぐると、昭和時代に舞い戻ったような昔ながらの懐かしい番台と浴場が待っている。湯船は、向かって左から薬湯、真ん中がジェットシャワーで、この2つは深くて少ししゃがむ感じだ。その右が気泡湯で足が伸ばせる。さらに一番右端が水風呂となっている。

塩湯は熱いことで知られる。この日の温度計は薬湯が45度を少し越えていた。

二人連れの若者が中国語で「熱い、熱い」と言いながら顔を真っ赤にして浸かっている。女将さんによると最近は、洋の東西を問わず外国からの入湯客が結構多いという。

次ページ 『テルマエ・ロマエ』に登場
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