池上桃子、岡本玄
2016年4月9日21時19分
被爆地・広島で10日から始まる主要7カ国(G7)外相会合の前日の9日、被爆者の梶本淑子(よしこ)さん(85)が報道関係者に体験を語った。主催者側はチラシなどを通して証言の場が設けられることを事前に知らせ、約10人の記者とカメラマンが集まったが、海外メディアはゼロ。梶本さんは「海外へ発信してもらうチャンスだったのに残念」とし、10日と11日に別の被爆者2人が話す場への参加と取材を求めた。
梶本さんが体験を語ったのは外相会合を取材するメディアの拠点「国際メディアセンター」で、平和記念公園(広島市中区)に置かれている。14歳の時に爆心地から2・3キロの工場で被爆したこと、梶本さんを捜すために歩き回った父が1年半後に亡くなったこと……。梶本さんは1発の爆弾で多くの命を奪う「核兵器の非人道性」を訴えた。
G7の核保有国(米・英・仏)の現職外相が初めて平和記念公園を訪れる今回の会合。広島平和記念資料館をまわり、原爆死没者慰霊碑に献花する予定の各外相には「キノコ雲の下で多くの人がどんな思いで亡くなっていったのか。心で感じ、帰国したあと、行動に移してほしい」と語った。
ドイツのラジオ局の東アジア支局長は「ほかの取材があるから」として梶本さんの体験を聴かなかった。一方で、「米国のケリー国務長官の発言に注目している」とし、海外の要人が被爆地を訪れることについては「重要。オバマ大統領が訪れたら正しいステップだと思う」と話していた。(池上桃子、岡本玄)
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!