2016.04.09 20:45
SENSORSでも特集を組んでお伝えしてきたインタラクティブ・音楽・フィルムの祭典「SXSW 2016」。日本人では唯一となる注目セッション(Featured Session)に登壇したのが、ロボット工学の第一人者・大阪大学 石黒浩教授だ。「アンドロイドと未来の生活(Androids and Future Life)」と題されたセッションには世界中からオーディエンスが集まり、日本から輸送したアンドロイドを用いて行われた数種類のデモには歓声が上がった。翌日にJAPAN HOUSEでも講演を行った石黒氏にSENSORS.jp編集長・西村真里子がインタビューを敢行。世界で注目を集め続ける石黒氏が初参加のSXSWで感じた空気、人工知能が注目される中で見据えるロボットと人間の共存世界に迫った。
人間には生まれつき、自らを"人間"と認識する能力が備わっている。これがまさしく人間とその他の動物を分かつ、基準そのものとなっているとも言えるだろう。
近い将来に人間に似たロボットが社会で当たり前の存在になっていくと主張する石黒氏。これまで数々の人間型アンドロイドを発明し、世界に対し「人間とは何か?」という哲学的な問いを発し続けてきた石黒氏がSXSWに初めて登壇した。 デモを交えて行われたセッションでは、人間が"人間たり得る"条件(modality)の原理について迫り、ロボットが人間との会話で与える影響について講演を行った。(その模様はアメリカの全国紙『USA TODAY』でも取り上げられた)
セッション「アンドロイドと未来の生活(Androids and Future Life)」の会場は満員となった。
講演後、テクノロジーを中心とした日本の注目展示をSXSWに集めた「JAPAN HOUSE」にも石黒教授が開発したプロダクトが数多く展示されたが、その場にてSENSORS.jp編集長・西村真里子がインタビューを敢行。改めて石黒氏のテクノロジー観、世界中を飛び回る氏がSXSWならではの感じた空気感について話を伺った。
(左)石黒浩氏(右)西村真里子
石黒教授の展示も行われたJAPAN HOUSEと6番街の様子
NTTのAI音声技術を搭載したGeminoid HI-4(写真提供:JAPAN HOUSE 実行委員会)
対話型ロボット・CommU(写真提供:JAPAN HOUSE 実行委員会)
『石黒教授のセッション、そしてJAPAN HOUSEの展示、いずれも来場者は驚きと感動を口にしていました。それは「あたかも人間のようなアンドロイド」を生み出した石黒教授の人間観察眼への賞賛とも受け取れます。我々は今後テクノロジーと一層近く生きていきます。そしてテクノロジーを普遍的に広めるためのエンターテインメント性はより重要視されます。教授の話を聞いたあとでは、より積極的にテクノロジーを受け入れることが人間の進化を強固にすると感じました。』とSENSORS.jp編集長西村が語るようにSXSW 2016で石黒教授が来場者に与えた人間の進化への気付きは大きい。読者の皆様にも我々が進化していく上で必要なテクノロジー&エンターテインメントの重要性を受け取ってもらえたら幸いだ。
■SXSW 2016 過去記事
#1【SXSW 2016】オバマ大統領らが語った "21世紀型の生き方"
#2【SXSW 2016】スタンフォードのフューチャリストによる「人工知能と仕事」
#3【SXSW 2016】自動運転車が初めて起こした事故から、Googleが得た教訓
#4【SXSW 2016】『スター・ウォーズ』最新作 監督 J・J・エイブラムスが語る「テクノロジーとストーリーテリング」
#5【SXSW 2016】水曜日のカンパネラ 米国での初パフォーマンスにオーディエンスは熱狂
#6【SXSW 2016】米WIRED生みの親ケビン・ケリーが語る「20年後の未来を作るテクノロジー」
SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。『SENSORS』や『WIRED.jp』などで編集者/ライター。『PLANETS』では構成を行う。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。東京大学大学院学際情報学府にてメディア論を研究。最近は「人工知能」にアンテナを張っています。将来の夢は馬主になることです。
Twitter:@_ryh
SENSORS.jp 編集長
国際基督教大学(ICU)卒。IBMでエンジニア、Adobeにてマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブカンパニー(株)バスキュールにてプロデューサー従事後、2014年に株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×クリエイティブ×マーケティングを強みにプロデュース業や執筆活動を行う。スタートアップ向けのデザイン&マーケティングアクセラレーションプログラム「HEART CATCH 2015」総合プロデューサー。 http://events.heartcatch.me/