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レスター奇跡の優勝目前!時系列でその感動が分かる、下馬評や特集記事の一年間の変化総まとめ

雑記

Leicester City flag | Flickr

イングランドプレミアリーグ2015-2016シーズンも、残すところあと6試合。1位レスターと2位トッテナムの勝点差は7。レスターの歴史的優勝は、秒読み段階となった。勝点差7ということは、トッテナムが逆転優勝を果たすためには、残り6試合でレスターより2試合以上多く勝たないといけない。今のレスターはそうそう勝ち星を落とさないので、この時点でレスターの優勝は90%以上確定したといってもいい。

しかしシーズン当初、レスターの快進撃を予想するものは皆無に近かった。むしろ、レスターに期待されていたのは残留だ。

本記事では、残留争いが予想されていたチームが優勝を手にするまでの間に、監督のインタビューでの発言や周りの声がどのように変化していったかを振り返る。

 

 

シーズン開始前(~2015年8月7日)

岡崎慎司の加入決定(2015年6月27日)

岡崎がついにレスター移籍!「レスター」ってどんなチーム? - NAVER まとめ

【海外の反応】岡崎慎司、レスター・シティへの移籍が正式決定! | NO FOOTY NO LIFE

前所属ドイツブンデスリーガのマインツで、2季連続二桁ゴールとなる12ゴールを挙げる活躍の後、満を持しての移籍。レスターファンからは喜びの声が多数挙がっていた。ちなみにブンデスリーガでは、シーズン10ゴールで十分な活躍、15ゴールで素晴らしい活躍、20ゴールでは超一流といえる。12ゴールを挙げた岡崎は、プレミアリーグで残留争いをするチームから見れば十分戦力になりうる実績を持っていた。

移籍金は700万ポンド(12.8億円)と、プレミアリーグ全体で見るとそれほど高額ではないが、レスター史上最高額での移籍であり、主力選手として大きな期待を背負っての移籍だった。

岡崎は「プレミアリーグに移籍することは夢だった」と語り、レスターファンは「ヴァーディに加えて良いストライカーが揃った」と喜んだ。ただ、この時点ではもちろん、優勝の二文字を見ることはまだどこにもできない。

 

ピアソン監督解任発表(2015年7月1日)

【オワタ?】岡崎慎司加入のレスター、ピアソン監督を解任!後任はモイーズ?

レスター監督が電撃解任 岡崎への影響は…? - Goal.com

レスターの岡崎獲得発表からわずか4日。前シーズン終盤に7連勝での残留を導き、また岡崎獲得に尽力したピアソン監督が解任された。そのため、岡崎の試合出場が少なくなるのではと日本のファンからは不安視された。

始まる前に終わったね

ピアソン代えたらダメだろレスター

何考えてるんだ

と悲観する声多数。後任にはクラウディオ・ラニエリ監督が選ばれた(2015年7月14日)。

 

戦力不足を指摘する記事(2015年7月22日)

レスターの新監督ラニエリのサッカーとは? そのなかで岡崎慎司はどのように活かされるのか!? 現役イタリア人監督が考察 | サッカーダイジェストWeb

開幕2週間前に発表されたこの記事では、レスターの戦力不足が指摘されている。下馬評では残留争いが予想されていたことが確認できる。

このチームが現在の残留争いゾーンからステップアップして、トップ10入りを狙えるところまで成長するためには、何よりも戦力強化のための投資が必要だ。

プレミアリーグ20チーム中、保有選手の市場価値総額で19位というレスターの戦力は、それ自体が大きな限界だ。

 

 

 

開幕~第7節(2015年8月8日~2015年10月2日)

ホメラレモセズ クニモサレズ (宮沢賢治 「雨ニモマケズ」より)

レスターがそういうものであったこの時期。開幕2連勝、開幕6戦無敗と、期待を上回る活躍をしていたが、ほとんど騒がれることはなかった。

 

ピザ発言(第5節終了時点:2015年9月18日)

岡崎所属のレスター指揮官、今季初完封勝利へご褒美明言「ピッツァを奢る」 | サッカーキング

レスターが5節終了時点で3勝2分の2位につけていた頃に話題になった記事。イタリア人指揮官らしいピッツァのチョイスがほほえましかった。記事中ではラニエリ監督のコメントとして、

とはいえ、同監督は第1の目標が残留にあるということを軽視していない。「目標は勝ち点40獲得だったが……勝ち点40に変えた」と冗談交じりにコメント。好調だが、第1目標は変わらないと語った。

と紹介されている。下馬評のみならず、監督も残留のことしか考えていなかったことがよく分かる。

ちなみに6節は完封に失敗し、2-2の引き分けに終わったので、ピザはおあずけとなった。

 

 

 

第8節~第12節(2015年10月3日~2015年11月20日)

まだ「いずれ落ちる」と誰もが信じていた頃。

 

あくまでも勝点40で残留を狙う

初黒星を引きずらなかったレスターに満足のラニエリ 「目標は残留」 - Goal.com (2015年10月4日・第8節・勝点15)

レスター・ラニエリ監督「目標は勝ち点40」首位タイと好調も謙虚さ変わらず - サッカー - SANSPO.COM(サンスポ) (2015年11月8日・第12節・勝点25)

勝っても負けても、首位タイになっても一貫して勝点40を目標に掲げ続けるラニエリ監督。それだけ、レスターがずっと活躍し続けるのは信じ難いことだった。誰もが、「いずれ残留争いに加わるに違いない」と思っていた。

 

初完封=初ピザ(2015年10月30日)

岡崎レスター・ラニエリ監督、選手全員にピザおごる - プレミアリーグ : 日刊スポーツ

ピザの約束も忘れず守るラニエリ監督。

 

 

 

訪れた第13節(2015年11月21日~11月27日)

迎えた第13節、レスターは3-0でニューカッスル・ユナイテッドに快勝する。一方、12節までの首位マンチェスター・シティ、2位アーセナルが揃って敗れたため、 レスターはついに単独首位に躍り出た。

 

それでも狙うは残留(11月21日・勝点28)

岡崎慎司のゴール、レスターのラニエリ監督絶賛「ファンタスティック」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト 

もちろん私たちにとって勝ち点を28ポイント手にしていることは重要。目標とする40ポイントまで、あと12ポイントのところまできた。目標以外のことを話すのは、それを達成したあとだ。今、我々は完全に目標だけに集中している

単独首位に立ってなお、ラニエリ監督は目標が残留であることを再度強調。

 

ヴァーディの連続試合ゴール記録

FWヴァーディの大活躍が騒がれていた時期でもあった。ヴァーディは第4節から連続ゴールを継続し、第15節でついに途切れるまでの間に、プレミアリーグ新記録となる11試合連続ゴールを打ち立てた。

5年前には工場でバイトしながら7部リーグでプレイしていたという出自とあいまって、日本でも大きな話題となった。

 

11月の月間最優秀監督/選手をレスターが独占

プレミアリーグは毎月、月間最優秀監督と選手を発表している。11月は監督としてラニエリ、選手としてヴァーディが選ばれた。第13節で単独首位に躍り出たチーム全体が評価されての選出といえる。

 

 

 

第14節~第22節(2015年11月28日~2016年1月22日)

レスターの活躍は本物かもしれない。まだレスターを優勝候補と思っている人はほとんどいないかった。しかし、ひょっとすると来季CL出場圏内(4位以内)がありえるかもしれない。そうした予感が生まれ始めた。

 

王者チェルシーを撃破(2015年12月14日・第16節・勝点35)

強豪を抑えて首位に君臨するレスター ラニエリ監督「夢から覚めたくない」 | SoccerMagazine ZONE WEB/サッカーマガジンゾーンウェブ

「ファンと一緒に夢を見続けていきたい」

「選手たちにはまだ『あと5ポイントが必要だ』と言った。私はシーズンの初めに40ポイントを目標に置いた。もし、この目標を達成できたら、その時に目標を変える」

勝点40というシーズン目標がいよいよ(シーズン前半だけですでに)現実的になってきて、目標変更の可能性に言及し始めたラニエリ監督。

 

「上位に残りたい」(2015年12月29日・第19節・勝点39)

レスター首位陥落もラニエリは上位維持に意欲「プレミアリーグはクレイジー」 | ゲキサカ[講談社]

「今の我々がやっていることはミラクルだよ。今の場所にいるのは事実だし、ここに残りたいと思っている。我々の(本来の)ポジションではないのは分かっているが、ここに残りたいね」

シーズン前半戦を全て終えて、2位で折り返したレスター。「上位維持したい」と、はじめて残留以外の目標を口にしたラニエリ監督。

 

勝点40達成(2015年1月2日・第20節・勝点40)

勝ち点40到達のレスター ラニエリ監督「選手たちにシャンパンを」 - サッカー - SANSPO.COM(サンスポ)

「勝ち点40だ。ファンタスティックだよ。我々は得点を挙げられなかった。でも、またクリーンシートだ。もちろん、選手たちにはシャンパンをあげるよ。チェアマンがおごってくれるかもね。私はピッツァを買うよ」

「これから我々は次の目標を達成しなければいけない。そして冷静を保つんだ。前半戦で我々は勝ち点39だった。だから、後半戦は勝ち点40を目指そう。難しいことは分かっている。だが、このリーグはクレイジーなんだ。我々は残留した。だから、トライしよう」

なんと、シーズン勝点40を目指してきたラニエリ監督は、ここにきてシーズン後半だけで勝点40をもう一度稼ぐことを目標とした。当初目標を2倍に変更したチーム、監督が今までにいただろうか?前代未聞の下馬評破りの活躍を表している。

この期に及んで、ピザで選手を釣り続ける可愛いラニエリ監督。

 

トッテナムに勝利(2016年1月13日・第21節・勝点43)

レスターの夢は続く ラニエリ「ファンは夢を見続け、我々はハードワークしなくてはならない」 | TheWORLD(ザ・ワールド)|世界中のサッカーを楽しもう!

「私がビッグクラブを率いているとして、レスターのような相手を見たら同じように『このチームはタイトル争いができる』と言うだろう。だが、言うのとやるのはまったく別のことだ。『レスターがタイトルを獲得できる』と言うのは簡単なことだが、誰もそれを信じてはいないよ」

「誰もがこう思っている。『遅かれ早かれ彼らは失速するだろう』とね。たしかに”小さな”レスターなら失速は普通のことだ。だが、今我々がやっていることは普通のことではない」

後に優勝争いを演じることになるトッテナムからの勝利。ラニエリ監督は優勝争いへの意欲と、それを実践することの難しさを語っている。

 

 

 

第23節~第26節(2016年1月23日~2016年2月26日)

Leicester City ready for kick off | Flickr

単独首位に返り咲き(2016年1月23日・第23節・勝点47)

第23節、レスターはストークシティに3-0で快勝。一方、前節まで勝点同率で首位だったアーセナルがチェルシーに0-1で敗れたため、レスターが単独首位に返り咲いた。この後レスターは、一度も他のチームに首位の座を譲っていない。

 

上位との三連戦(24節~26節)

24節~26節は、リヴァプール、マンチェスター・シティ、アーセナルという強豪3チームとの3連戦だった。この3連戦がレスターが優勝争いに残れるかどうかの分かれ目であるとされ、大きな注目を集めていた。

「この3連戦を負け越さなければ、レスターは優勝争いに絡んでくる」。

そう予想されていたが、蓋を開けてみるととんでもない結果が待っていた。

 

第24節 レスター・シティ 2 - 0 リヴァプール
第25節 レスター・シティ 3 - 1 マンチェスター・シティ
第26節 アーセナル 2 - 1 レスター・シティ

 

優勝を確実にたぐり寄せる2勝1敗。これはヤバい。3戦目のアーセナル戦に逆転負けこそ喫したものの、強豪との3連戦で6得点3失点の成績は紛れもなく本物である。ぼくはレスターファンではないのだが、この時期は毎週「マジか?!マジなのか?!」と鳥肌が立っていた。この時点で勝点53。

【海外の反応】「これは現実?」岡崎先発のレスターがマンシティとの首位攻防戦に快勝! | NO FOOTY NO LIFE (2016年2月6日)

これって現実?

今、涙目になっているよ

1998年のオールド・トラフォードでの勝利以来最高の結果だ。信じられない

レスターサポーターの歓喜が伝わる。

今シーズン、うちは残留するかもしれないぞ

 こんなネタコメントも。

 

監督も動揺

【プレミアリーグ】シティを撃破したレスターのラニエリ監督が「今シーズンは狂っている」と本音を吐露。敵将やバルサのピケまでもが躍進チームを賞賛 (SOCCER DIGEST Web) - Yahoo!ニュース (2016年2月6日)

「今シーズンは狂っている。何故こうなったかについては、わからないけどね。優勝したら…なんて考えていないし、考えたくもない」

まだ優勝のことは現実的に考えられない様子のラニエリ監督。 

 

5千倍の優勝オッズが話題に

5千倍の払い戻しも…レスター優勝ならブックメーカー史上屈指の大穴的中に - Goal.com (2016年2月9日)

リー・ハーバートさんは、レスター優勝のオッズが5000倍だったシーズン開始当初に5ポンドを賭けており、このまま的中すれば2万5千ポンド(約416万円)の大金を手にする

ハーバートさんは現時点で3200ポンド(約53万円)を払い戻すことでベットを取り消す案をブックメーカーから持ちかけられたが、これを断ったという。10歳の頃からレスターファンだったという彼は、「ダメになったとしても、結局5ポンドだからね」と夢を見続けることを選んでいる。

ただの応援の意味でブックメーカーに賭けていたお金が、大金になって返ってくるという夢のような話。53万円程度の払い戻しには当然応じない!

 

 

第27節~第32節(2016年2月27日~2016年4月9日)

優勝の現実味が週を追うごとに増してきた時期。下位チームとの対戦が続く中、6戦5勝1分という好成績できっちりと勝点を積み上げた。特に、この時期の5勝はいずれも1-0での勝利であり、「勝ちきるチーム」との印象を与えた。

 

夢は見ない。ただ走り続ける

2位に勝ち点5差を付けたレスター ラニエリ「夢は見ていない」 | ゲキサカ[講談社] (2016年3月5日・第29節・勝点60・2位との勝点差5)

「私は夢を見ていない。仕事を続けている。ファンは夢を見て、我々は仕事をするんだ。」

“奇跡の優勝”に近づくレスター、ラニエリ監督が胸中語る「我々は夢を見ない」 | フットボールチャンネル | サッカー情報満載! (2016年4月6日・第32節・勝点69・2位との勝点差8)

「レスターの道端でファンに出会うと“夢を見ている”と言われるよ。それでも私はこう言うんだ。『オーケー、君たちは我々のために夢を見てくれ。我々は夢を見ない。ただハードワークをするだけだ』」

ラニエリ監督は自分に言い聞かせるかのように語る。一喜一憂したり、浮かれてしまったりすることなく、地に足をつけて走り続けるレスターの快進撃を支えるメンタリティはここから来ているのだ。 

 

早期払い戻しを選択するファンも

レスターファン早期払い戻しで1190万円ゲット - プレミアリーグ : 日刊スポーツ (2016年3月8日)

これは…。自分なら、優勝まで待ってたかもしれない。

 

 

 


残りはたったの6試合で、2位との勝点差は7。レスターの歴史的優勝はもう目の前といっていい。ぼくは毎週レスターの快進撃を楽しみにしている。

33節~38節が行われ次第、この記事は適宜加筆修正していきます。レスターが優勝するまでの軌跡をみんなで見守りましょう!