全国の同和地区

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被差別部落の分布図(早稲田大学部落問題研究会文学班が1961年に作成)

目次

全国部落調査

「全国部落調査」はこちらから閲覧できる。 http://files.tottoriloop.miya.be/data/2016/zenkokuburaku.html

また部落解放同盟構成員が作った部落地名総鑑「50年のあゆみ」はこちらから閲覧できる。 http://files.tottoriloop.miya.be/data/%EF%BC%95%EF%BC%90%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%86%E3%81%BF%E5%9C%B0%E5%8C%BA%E7%B4%B9%E4%BB%8B.pdf

部落解放同盟長野県連合会が作った部落地名総鑑「差別とのたたかい」はこちらになる。

差別とのたたかい

部落解放同盟は自ら部落地名総鑑を出版しておきながら、第三者が部落の地名を公表すると差別だと批判する矛盾を説明しないまま現在に至る。

なお毎日新聞2016年4月8日付の記事において、住吉隣保事業推進協会の友永健三理事長が「最近でも被差別部落の所在地情報がインターネット上で流布される」旨述べているが[1][2]、その部落地名総鑑には友永健三氏が経営する「すみよし隣保館」を運営委託された「社団法人大阪市人権協会」が作製した「50年のあゆみ」があり[3]、また友永健三氏が所長をつとめる社団法人部落解放・人権研究所が作成した「大阪の同和事業と解放運動」がある。[4]

http://tottoriloop.miya.be/blog/2011/03/19/大阪府の同和地区一覧/

概況

全国の同和地区数、同和地区人口は諸説あり、政府による調査では以下の通りとされている。[5]

調査年 地区数 地区人口
1921年 4,853 829,773
1935年 5,365 999,687
1958年 4,133 1,220,157
1962年 4,160 1,113,043
1967年 3,545 1,068,302
1971年 3,972 1,048,566
1975年 4,374 1,119,278
1987年 4,603 1,166,733
1993年 4,442 892,751

俗に全国の被差別部落の数は6000といわれるが、本田豊によるとこれは長吏系部落のみの数であり、広島などの山窩系や茶筅系、島根などの鉢屋、熊本や福岡などの山窩系や非人系部落を含めると1万近くにのぼるのではないかという[6]

1935年の全国部落調査による府県別被差別部落数、ならびに1934年の白山比咩神社の調査による府県別白山神社数は以下の通りである。ただし数値の正確性には異説がある[7]

府県名 部落数 白山神社数
東京 20 40
埼玉 263 102
神奈川 31 21
栃木 104 44
群馬 262 93
茨城 57 41
千葉 39 53
山梨 23 25
長野 333 96
静岡 52 56
愛知 35 220
岐阜 21 525
福井 6 421
石川 47 156
富山 233 106
新潟 59 232
山形 0 76
秋田 1 86
青森 0 9
岩手 0 27
宮城 0 30
福島 8 42
三重 193 26
和歌山 111 7
大阪 106 6
奈良 77 15
滋賀 67 27
京都 147 11
兵庫 341 10
岡山 373 2
広島 426 2
山口 154 6
島根 147 2
鳥取 97 4
香川 48 3
愛媛 593 6
高知 69 7
徳島 86 14
福岡 475 22
佐賀 20 12
長崎 62 6
熊本 45 11
鹿児島 54 7
大分 71 9
宮崎 9 データなし
沖縄 0 データなし
北海道 0 データなし

自治体別同和地区人口比率[8]

市町村名 比率 総人口
高知県吉川村 73.40 2161
福岡県大任町 61.30 6624
滋賀県甲良町 42.94 8903
福岡県碓井町 40.42 6999
徳島県吉野町 40.13 9124
高知県赤岡町 39.80 3859
福岡県方城町 39.35 8156
福岡県金田町 39.14 8770
滋賀県豊郷町 39.00 7259
島根県大和村 38.90 2260
福岡県赤村 36.30 4004
福岡県川崎町 33.00 22296
滋賀県虎姫町 30.85 6253
埼玉県南河原村 28.56 4274
奈良県菟田野町 27.70 5455
京都府井出町 26.53 9434
福岡県赤池町 24.60 10023

都道府県別調査結果

北海道地方

東北地方

(参考)1882年に発表された東北地方の藩県別の穢多と非人の数[9]

藩県 穢多 非人
相馬 56 117
棚倉 107 29
三春 33 30
磐城平 73 34
98 -
湯長谷 509 9
松川 - 60
白河 209 13
角田 68 238
二本松 45 36
若松 788 61
福島 75 136
仙台 396 742
登米 125 377
盛岡 189 -
一関 31 93
胆沢 62 257
江刺 - -
弘前 488 8
7 12
八戸 54 -
黒石 39 -
七戸 13 -
米沢 557 18
新庄 14 52
上山 151 7
天童 16 -
鶴岡 145 132
山形 24 62
秋田 94 4
本庄 89 -
岩崎 14 -
亀田 45 -
矢島 14 -
松山 17 55

関東地方

(参考)東日本、特に関東地方の被差別部落と白山神社の関係

川元祥一「白山神社、あるいは白山信仰と被差別部落との関係は、関東地方においては特別深いものがある。関東地方においては、被差別部落に必ず白山神社がまつられている。必ずと私は書いたが、これはほとんど正確な表現といえるだろう」[10]

柴田道子「白山神社は部落の氏神といわれ、東日本のどこの部落にもある。はくさんさまともしらやまさまとも、あるいは権現さまとも呼ばれている。おどろくのは、どんな辺地の小さな部落にも白山神社があることだ。白山神社がきめこまかにすみずみの部落までひろまっていたことがわかる」[11]

柴田道子「東、北信地方の白山神社は部落に一つずつあり」「中信地方に行くと、各マキごとにあった。南安曇郡豊科町真々部では、十数戸という小さな部落に四つの白山さまが祭られていた」[12]

柴田道子は白山信仰について「部落の信仰として東日本の端々までゆきひろまった」[13]とも述べているが、木下浩は「いささか過大にすぎる」と柴田を批判している[14]。木下浩によると、新潟県内の被差別部落で白山神社を祀っているのは上越市・南魚沼市・村上市で各一箇所ずつしかないという。

また「被差別部落に必ず白山神社がまつられている」ことは「白山神社が祀られている場所は必ず被差別部落である」ことを意味するものではない。「(白山神社が)ないところもかなりある」と本田豊は発言している[15]

一般的にいって、愛知県以東の東日本の部落と白山神社は、密接に結びついているが、日本一の数をほこる岐阜県は部落との関係を見出せない[16]。わずかに木地師の信仰していた白山神社がみとめられる[17]。福井、石川、富山の北陸三県は加賀白山の登山道があり白山神社が多いが、一般白山信仰[18]。愛知、静岡から関東各都県、長野、新潟、山形、福島、宮城の各県の部落には一部を除いて必ず白山神社が祀られている[19]

本田豊「愛知県より東の各都県の部落には、必ずといってよいほど白山神社が祀られている。野本武一は生前、1960年代に未組織部落をオルグしたとき、部落の所在がわからない場合、まず白山神社をさがして歩くところから始めた、と語っていた」[20]

本田豊「部落と白山神社の関係についての北限は、太平洋側は仙台、日本海側は米沢までの地域とみてよいと思う」[21]

「関西の部落には白山神社は全くないのです。しかし、例外として堺の方の部落にたった1ヵ所だけあるということです」と本田豊は言っている[22]。祭神の一つに白山大神を祀っている大阪府堺市南区片蔵645の櫻井神社か、境内に末社の一つとして白山社を祀っている大阪府堺市南区宮山台2丁3−1の多治速比売神社のことかもしれないが、堺市南区に被差別部落の存在は確認されていない。

なお、香川県観音寺市観音寺町の被差別部落には白山神社がある。また三重県では津市白山町川口、津市白山町八対野、津市白山町山田野、津市白山町南家城の各被差別部落に白山神社あるいは菊理比咩命を祀る神社がある。長崎県島原市白山町には穢多池という字があり、白山神社もある。すなわち、被差別部落と白山神社の関係の西限は愛知県というわけではない。被差別部落と白山神社の関係の西限についてを参照。

北陸地方

中部地方

近畿地方

中国地方

四国地方

九州地方

日本国外

アメリカ合衆国カリフォルニア州フレズノ近辺には、被差別部落から移民が行われたことがある[23]

アメリカ合衆国ハワイ州の日系移民の間で部落差別が問題になったこともあり、1930年には岡村議によって「悪因習を滅絶せよ」という呼びかけがなされた[24]。岡村議はハワイにおける水平運動の創始者とされている[25]

また、ブラジルの日系人社会における部落差別の存在を野口道彦が報告している[26]

出典

  1. http://potato.2ch.net/test/read.cgi/femnewsplus/1460126634/1-5
  2. http://mainichi.jp/articles/20160408/ddl/k27/040/372000c
  3. http://spwww.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000059659.html
  4. https://kotobank.jp/word/友永健三-1095219
  5. 同和対策審議会答申(附属書類全文) p95
  6. 本田豊『白山神社と被差別部落』p.116-117
  7. 本田豊『白山神社と被差別部落』p.77-78
  8. 『今日の部落差別』(解放出版社、1997年)
  9. 呉文聡『統計集誌』第8号、1882年
  10. 川元祥一『関東の部落を行く』42頁
  11. 柴田道子『被差別部落の伝承と生活: 信州の部落 古老聞き書き』17頁
  12. 柴田道子『被差別部落の伝承と生活: 信州の部落 古老聞き書き』17頁
  13. 柴田道子『被差別部落の伝承と生活: 信州の部落 古老聞き書き』23頁
  14. 木下浩『辺縁の未解放部落史研究』113頁
  15. 本田豊『白山神社と被差別部落』117頁
  16. 本田豊『白山神社と被差別部落』76頁から80頁の大意。
  17. 本田豊『白山神社と被差別部落』76頁から80頁の大意。
  18. 本田豊『白山神社と被差別部落』76頁から80頁の大意。
  19. 本田豊『白山神社と被差別部落』76頁から80頁の大意。
  20. 本田豊『白山神社と被差別部落』76頁
  21. 本田豊『白山神社と被差別部落』82頁
  22. 本田豊『白山神社と被差別部落』139頁
  23. 成澤榮壽『表現の自由と部落問題』83ページ
  24. 『部落解放』 (第269号)、101-113頁、1987年12月
  25. 「悪因習を滅絶せよ」の中林清文による序文。
  26. 野口道彦「ブラジル日系コロニアと部落問題」(大阪市立大学『人権問題研究』12・13合併号、2013年。97-110頁)
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