【競泳】中2から北島指導の平井HC、130m過ぎに「負け覚悟」
2016年4月9日6時0分 スポーツ報知
中学2年から北島を指導してきた東洋大・平井伯昌監督(52)はショックを隠せなかった。「(レース後は)お疲れさん、ぐらいしか言えなかったけど…」と話し出すと、思わず涙がこぼれた。
レース前のウォーミングアップは、ストップウォッチを片手にプールサイドを歩き、付きっきりで指導した。ここ数年は最後にペースを落とし抜かれることが多かった。「最後の50、25(メートル)がダメだから、そこまで我慢だ」と送り出した。130メートル過ぎから詰まった泳ぎの印象を受け「(負けを)覚悟をした」という。
悔やまれるのは、やはり5日の100メートル決勝だ。前日の準決勝で59秒62を出しながら、最後は派遣標準59秒63に0秒30届かない59秒93に終わった。「もう少し何かできたんじゃないかと」。反省が口をついた。
08年北京五輪後に一度は離れたが、ロンドン後の12年末から再び二人三脚で歩んできた。泳ぎやしぐさを見るだけで考えや気持ちが分かる。その関係は師弟を超え「友人みたいな関係。何でも話せる仲」だった。
教え子としてではなく日本代表を率いる立場としても頼りにしていた。東洋大でともに練習する萩野をはじめ、金メダルを目指すためにあるべき姿を示し続けてきた。「北島ロスですね」。まな弟子がいない五輪。誰よりもさみしいのは平井氏だろう。(大和田 佳世)