奥村輝、山崎啓介
2016年4月9日10時16分
今年2月に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」が、深刻なトラブルに陥っている。通信が途絶え、機体は複数に分解したとみられている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、わずかに受信できた電波に望みをつなぐが、原因はわかっておらず、観測の断念を迫られる可能性もある。
「通信が回復しなければ、大変厳しいことになる」。常田佐久・JAXA宇宙科学研究所長は記者会見で、衛星がこのまま失われる可能性に触れた。
ひとみの異常が判明したのは3月26日午後4時40分。予定されていた時刻に通信ができず、その後も途絶えたままになった。
さらに地上からの観測で複数に分かれていることも判明した。JAXAは少なくとも二つと発表。宇宙空間の物体を監視する米戦略軍統合宇宙運用センターの最新の分析では、本体以外に10個の物体があるという。明るさが周期的に変わることから、機体は回転しているとみられている。
通信ができないと衛星の制御もできない。本体が大きく壊れていれば、観測自体が難しくなる。
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