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【首都スポ】

小林花奈子&久保光里 東京五輪夢物語描く幼なじみ

2016年4月9日 紙面から

高校選抜女子セブンズで優勝した石見智翠館のSO小林花奈子(右)と準優勝した栃木県選抜のWTB久保光里主将=5日、熊谷ラグビー場で(大友信彦撮影)

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 幼なじみが全国決勝で対決した! 5日に行われたラグビーの全国高校選抜女子セブンズ大会。4連覇を飾った島根・石見智翠館高のSO小林花奈子(3年)と、準優勝した栃木県選抜のWTBで主将の久保光里(佐野日大高3年)は、神奈川県の藤沢ラグビースクールで小学生時代から一緒にプレーした親友にしてライバル。男子に交じって楕円(だえん)のボールを追っていた幼なじみ2人が、全国の頂点をかけて戦った。 (大友信彦)

 「ありがとうございました!」

 5日、埼玉県の熊谷ラグビー場。全国高校選抜女子セブンズ決勝を終え、スタンドの応援団に向かい、涙をこらえてあいさつしていたのが栃木県選抜主将の久保だった。

 栃木県チームとして出場するのは初めてだったが、1次リーグでは鹿児島県女子、北海道選抜を連破。準決勝では、1次リーグで圧勝を重ねた大阪の追手門学院を20−7と破り、関東勢としては第1回大会の関東選抜以来4大会ぶりの優勝を目指したのだが…。決勝では4連覇を目指す名門・石見智翠館に19−26で敗れた。50メートル6秒7の俊足でトライゲッター役を担った久保も、厳しいディフェンスの前にノートライ。

 「頼りないキャプテンだったけれど…。でも、違う高校の私を迎え入れてくれた仲間に感謝しています」

 栃木県選抜のメンバー10人は7人が国学院栃木、2人が佐野日大、1人が県立佐野に所属。全員、普段は男子部員に交じって練習している。

 「去年、私は北海道選抜のサポートメンバーで出してもらったんですが、優勝した石見智翠館を見て、単独で出られるチームに憧れました。だから、どうしても勝ちたかったんですが…」

 あいさつを終えた久保に、勝った石見智翠館の選手が一人、歩み寄る。SOの小林。神奈川県の藤沢ラグビースクールで、小学生時代からともに楕円(だえん)球を追った仲だ。

 「スクール時代は、基本的に女子は2人でやってました(笑)。去年の花園でも対戦して負けたので、絶対に勝ちたかったんです」と久保。

 小学生時代は男子に交じって試合に出場。中学時代は神奈川県の各スクールに所属する女子選手の合同チーム「神奈川プリンセス」でともに戦った。だが、神奈川県内に女子チームのある高校はなく、2人はそれぞれ親元を離れた。久保は、伯父で元日本代表でもある藤掛三男さんが監督を務める栃木の佐野日大へ。一方の小林は島根の石見智翠館へ。

 「神奈川プリンセスで2年先輩の青木蘭さんが神奈川から初めて智翠館に行って、選抜で優勝した姿に憧れて選びました。智翠館はタックルがすごくて感動したんです」と小林。

 日本の高校女子ラグビーの草分けでもある同校は、高校チームながら太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに単独で参加する実力チームだ。20年東京五輪を「ラグビーをしている一番の目標」に掲げる小林には理想的な学びの場に思えた。

 「寮生活も楽しい。親と離れている分、自分に厳しくするよう意識して、仲間と一緒に成長していると思う」

 同期には、高2で15人制女子日本代表入りした黒木理帆もいる。部員は女子だけで30人を超える日本一の大所帯。女子だけでチームプレーを練習できるのが強みだ。

 一方の久保も負けていない。「ふだん男子と一緒に練習できるのは強みだし、この大会に向けては国栃でずっと一緒に練習して、いい準備ができた」

 そして付け加えた。

 「今回の準優勝で、サニックスの出場権を獲得できたので、そこで雪辱します」

 次の戦いは今月28、29の両日、福岡で開かれるサニックス・ワールドユースだ。単独チームと混成チーム、それぞれの魅力も背負い、20年東京五輪を見据え、親元を離れて上を目指す2人のライバル物語はまだ続く。

     ◇

 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中

 

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