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ベーコン味のプリンにインド風のパエリア…

 ベーコン味のプリンにインド風のパエリア……。米IBMの人工知能(AI)「ワトソン」が考案したレシピの一例だ。人間のシェフが思いもつかないような65種類の創作レシピを紹介した料理本が昨年発売された▲人間並みの意識を持ち、将来は人間の仕事を奪うかもしれないと言われるAIでも、食べ物の味を形として記憶する域には達していない。JR新宿駅東口改札近くにある喫茶店「ベルク」の副店長、迫川尚子(さこかわなおこ)さんは「おかしな人」と思われるのが嫌で、味に形が見えることを最近まで隠していた▲インタビューを収録した「味の形」(ferment books)を読んで迫川さんを店に訪ねた。例えばおいしい純米酒を口に含むと、薄いピンクの光の玉がふわふわと浮いて見えるそうで、味の形を紙に描いて仕入れ先に伝えたり、メニューの開発に生かしたりしている▲味に形を見たり、文字や音に色を感じたりと、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの感覚が混ざり合う状態を共感覚(シナスタジア)という。本人の意思とは関係なく自然に生じるのが特徴で、詩的表現や暗喩、想像の産物ではない▲共感覚研究の第一人者で、神経内科医のサイトウィック博士は共感覚の持ち主を2万5000人に1人と推定する(「脳のなかの万華鏡」河出書房新社)。芸術家に多いとされ、抽象絵画のカンディンスキーや宮沢賢治もそうだったらしい▲AIが考案したレシピは音楽における楽譜のようなもの。だが、「味覚の記憶があれば、レシピがなくてもその味は再現できる」と共感覚者の迫川さんは話す。これではさすがのAIも出番はない。

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