ワシントン=小林哲
2016年4月9日11時16分
米航空宇宙局(NASA)は、国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けて、風船のように膨らます折りたたみ式の居住施設の試験を始める。8日午後(日本時間9日未明)、フロリダ州から打ち上げた米宇宙企業スペースXの無人補給船ドラゴンに搭載した。将来の有人火星探査などに活用する新技術で、今後2年かけて耐久性などを試すという。
この施設は、米宇宙ベンチャー「ビゲロー・エアロスペース」が開発。重さ約1・3トンで居住施設としては軽く、打ち上げコスト削減などが期待される。ISSでは、折りたたんだ状態の施設をロボットアームで船体に取り付けた後、5月下旬に空気を送り込んで膨らます予定という。
高さは約2・4メートルから約3・2メートルに伸び、幅も2倍ほどの約4メートルに広がる。内部に大人が自由に動き回れる空間が生まれ、宇宙飛行士が定期的に立ち入って、宇宙線の影響や施設の耐久性などを調べるという。ビゲロー社は、一般人が滞在できる「宇宙ホテル」の開設を計画していることで知られる。
一方、補給船ドラゴンの打ち上げに成功したスペースXのロケット「ファルコン9」は打ち上げ後、発射場沖の大西洋に浮かべた専用施設に着地。海上での回収試験に初めて成功した。使い捨てだったロケットを再利用し、費用削減につなげる試みで、昨年末、地上の発射場に再び着陸する試験には成功したが、海上では失敗が続いていた。マスク最高経営責任者によると、回収したロケットは実際に再利用する予定という。(ワシントン=小林哲)
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